きっかけは「男の子と女の子は赤ちゃんでも抱き心地が違うらしい」なんて都市伝説めいた話を聞いたこと。
息子を抱っこしたときの記憶が全然ない。覚えてない。
ちゃんと抱っこしてたはずなのになあ。
写真はあるし、動画もある。
けど、自分の腕に記憶が残っていない。
母子手帳には記録もある。
何か月で何キロだったか。
私はその子を毎日抱っこしてた。
でも、自分の腕に重みが残っていない。
腕のなかでどんな顔をしていたのか、体温とか、なにも覚えてない。
夜泣きが辛かったこととか、大変だったことの気持ちは覚えてるのに、腕の中の息子のことをなんにも覚えていない。
うわあ、これはびっくり。そしてショック。
当時のどうでもよかったテレビ番組とか、うんと昔の恥ずかしかったことは頭のなかでずっと残っていて、そんなのいらないから、あのときの息子の重さを覚えていたらよかったのに。
何やってんだ私の頭は。
今となっては4歳、生まれたときの6倍近くの重さになった息子の体を「大きくなったなあ」なんて抱きしめる。
そこまで考えてふと気づいた。
「娘と比べると大きいな」じゃない。
記憶にはないけど、「大きくなったなあ」ってわかる。
見えないけれど、思い出せないけれど、どこかに小さな息子が残ってる。多分。