「配達員かわいそう」で終わる
少し前にネット通販の普及に伴うヤマトの苦境みたいなことが話題になりました。
配達員の現状がワイドショーでも放映され、どれだけ配達員が大変なのかについて日本中が知るところになりました。
その結果、世の中は以下の意見に覆われました。
- 働く人が苦労するような過剰なサービスはやめよう!
- 配達員の再配達が減るように受取りをみんなで確実にしよう!
ずれていると思います。
経営陣のミス
今回の原因は経営陣の判断ミスが問題です。
・アマゾンとの契約がけっこうしょっぱい
・再配達制度で負担が増加している
どちらも、なんとかできる(もしくはできた)のは経営陣だからです。
アマゾンとどんな契約をしたかは知りませんが、経営陣の判断としてアマゾンとの配送契約をしたんですよね。
しかしamazonの配送量が予想を超えていたんでしょう。
であるならば、期間雇用を無理矢理でも雇ってなんとか補填しないといけないはずです。
時給を上げてでも、すぐに対応するべきでした。
しかし、経営陣はそれをしなかったか、十分ではなかったわけです。
その結果、配達員のタスクが過剰になり、労働環境が悪化したのでしょう。
また、再配達制度についても、「無料で再配達します」と言っていているのはクロネコヤマトですよね。
そしてその方針は今でも変えていません。
この方針が変えられるのは、経営陣ですよね。
だって佐川は撤退できてますし。
労働組合からせっつかれてから動く経営陣
2月下旬にクロネコヤマトが話題になったきっかけが、労働組合が春闘で取扱荷物の抑制を願い出たためでした。
配送業者の労働組合が「荷物扱う量を減らしてくれ」というのは、なかなかイカれた春闘です。
それだけ切羽つまっていたのでしょう。
経営者は判断することが大切なお仕事だと思っていました。
しかし、クロネコヤマトの経営者は状況がイカれるまで放置していたわけです。
なぜクロネコヤマトの経営陣は叩かれなかったのか
クロネコヤマトの経営陣が叩かれる場面は3つありました
ワイドショーなどのマスメディアでなぜ叩かれなかったのか
理由は、お客様だからです。
「クロネコヤマトのたっきゅ〜びん♪」
というCM昔ありましたよね。今もあるのでしょうか。
クロネコヤマトの社内でなぜ叩かれなかったのか
問題が世間に認知する前、また後、経営陣内で下の人からの突き上げ、またより下の営業所レベルからの報告という名の悲鳴はなかったのでしょうか。
言えない空気がヤマト運輸の本社にはあったために改革が今も行われていないと考えるのが自然だと思います。
ヤマト運輸は、平成13年度の入社式で、すでに「年功序列の撤廃」を明言しています。※1
しかし、実力主義ではありながら、他の多くの会社と同じように、「上に物申すことができない」雰囲気を持っていると思われます。
前社長で現会長の木川 眞氏は30年間東京富士銀行およびみずほ銀行で勤め上げた元銀行マンです。
社長と副社長はヤマトの生え抜きの人間です。
トップが会社の雰囲気に影響することは言うまでもありませんが、
議論が活発に起こるような場、というフランクな会社をつくるというよりは、
上下関係をしっかりとして、日々の業務を遂行する堅牢な組織を作る、というようなイメージのほうがしっくりきます。
現場がひどい状態であっても、それを真面目に遂行するが是であり、「荷物が多すぎてツライ」という陳情ができる雰囲気ではなかったのでしょう。
ネットでもなぜ叩かれなかったのか
多少は「経営陣どうなのよ」という声もあったでしょうが、大体が
「再配達は申し訳ないよね>< みんなで気をつけよう」
でしたね。
理由は2つあり、
・日本人は経営陣にすごい弱いから
・実は別にどうでもいいから
です。
まず日本人は私も含めて経営陣にすごい弱いですよね。
例えば、「○○会社の××社長無能!」って書きづらくないですか?
2chで匿名で書くならまだしも、ツイッターやブログではすごい書きにくく感じます。
「なんか正直良くわかんないし、下手に触れると詳しい人に反論されそう」みたいな。
また、実はみんな別にどうでもいいのです。
正直(労働基準法は知りませんが、今のところ)違法なことはありません。
大変な労働環境だなぁとは思っても、対岸の火事です。
近くの家に虐待を受けている犬がいて、かわいそうだと思ったから気が向いた時にパンの耳を投げて
「私いいことしたわー」
って浸ってるだけでしょう。
もしくは、配達員とは顔を合わせるのですから、「ちょっと気まずいわー」と思ったくらいでしょう。
どうすればいいのか
クロネコヤマトはどうすればいいのか
期間雇用でしのいでください。
集まらないと思うので、給料を高くしてください。
期間雇用であって正社員ではない理由は、amazonがヤマトを切る可能性があるからです。
米国では、配送の自社化を目指しているというニュースが昨年ありました。
2015年には、一般の人に配送を頼むアプリの開発の噂もありました。頓挫したんでしょうが。
また、給料を高くしてでも雇う理由は、雇えないと人が減って手に負えない事態になるからです。
すでに一人に対してキャパオーバーなタスク量となっているのでしょう。
この状態でベテランの配達員がやめていったらもはや手に負えなくなります。
もしくはアマゾンとの契約云々を変更する手もありますが、可能なのか不可能なのか知らないので置いておきます。
再配達有料についても、アマゾンその他との契約の話に関係しそうなので実現可能なのかわかりません。
私たちはどうすればいいのか
再配達をさせないように気をつける必要は全くありません。
むしろ防止運動はしない方がいいとおもっています。
今まで通り、いないときは再配達させて、「あざーっす」って受け取れば良いと思います。
もし、再配達防止運動が全国に広まったとすると、ヤマトは改革の機会を失います。
「なんか数字改善したからこのままでいけんじゃね?」ってなるんじゃないですか。
あ、けど、もし再配達無料をヤマトに維持させようと思ったら、一度再配達が無いように気をつけて、ほとぼりが冷めた時にまた再配達を心置きなく利用するという手はあるかもしれません。
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基本全てに返します。
注釈
※1ヤマト運輸平成13年度入社式社長訓示(要旨), http://www.yamato-hd.co.jp/news/130402news2_2.html