5月9日に行われる韓国大統領選まで32日となった。国会に議席を保有する5党が候補を決定した直後の選挙戦序盤は共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)氏と国民の党の安哲秀(アン・チョルス)氏による事実上の一騎打ちの構図となっている。
政界と世論調査の専門家は「序盤情勢を見る限りは、候補一本化が勝負の分かれ目になる」とした上で、これまで保守政党を一貫して選んできた約15%の有権者がどんな選択を下すかが最大の不確定要素になると分析した。
最新の世論調査を総合すると、5候補の対決では文氏が依然安氏をリードしている。一方、候補一本化で一騎打ちの構図となった場合には、安氏がリードするという調査も複数ある。このため、候補一本化の行方が情勢を大きく左右しそうだ。しかし、安氏は6日の討論会でも政界による人為的な候補一本化には消極的な姿勢を崩さなかった。安氏は自由韓国党を「弾劾反対勢力との連帯はない」とい切り捨てた。朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領から距離を置く与党議員が離党して結成した保守政党「正しい政党」については、「朴槿恵政権を発足させる上で役割を果たした人たちは責任を負うべきで、政権を夢見てはならない」とし、共に民主党を離党して出馬表明した無所属の金鍾仁(キム・ジョンイン)氏については「共に激しい競争を展開することを望む」と語った。
安氏は「今回の大統領選では他党と連帯しないと断言できるか」との質問に「そうだ。国民が望まない以上、そんなことはないと信じている」と述べた。安氏の姿勢は候補一本化を積極的に目指した場合、マイナス効果があると判断しているためだ。
ソウル大のハン・ギュソプ教授は「無理な一本化は既存の支持層を分散させ、逆効果が大きい」と指摘。リサーチ・アンド・リサーチのペ・ジョンチャン本部長は「自由韓国党と連帯すれば、全羅道と革新・中道支持層が離脱し、支持率が低下しかねない」と述べた。
しかし、保守層が現在の世論調査結果通りに投票した場合、安氏が当選する確率は高くない。このため、国民の党や政治専門家は、自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏、正しい政党のユ・スンミン氏を支持しない15%の保守層がどんな選択をするかに勝負がかかっていると判断している。15%の保守層が投票に際し、勝つ可能性がある候補に票を回した場合には中道の安氏に有利に働くが、結果に関係なく、保守のアイデンティティーを重視する選択を下せば、文氏の当選確率が高まる。