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ブロックチェーンの真の価値は、仲介者の存在を陳腐化するというところにある。互いに相手を知らない当事者間の「信頼」を得ることで利益を得る第三者の存在をなくすのだ。世界中の各業界の最大手がブロックチェーンに投資を行っている理由は、その点にこそある。各社は「破壊」される者ではなく、「破壊」する側になろうとしている。

ブロックチェーンはインターネットと同様、その上にアプリケーションを構築できるような大規模なシステムであり、基盤となるテクノロジーだ。インターネットが経済を大きく変えるには30年以上がかかったが、世界的に価値の高い企業の50%以上は現在、インターネットを利用したビジネスを行うものとなっている。

すでに見られる広がり

世界各国の銀行の約80%が、独自のブロックチェーン技術の開発に取り組んでいる。 英バークレイズ銀行は2016年9月、世界初となるブロックチェーンを使った国際貿易取引を実施。通常は7〜10日かかる手続きを4時間以内で行うことに成功した。米ナスダックもまた、ブロックチェーンの導入に積極的だ。

さらに、IBMは現在、ドバイ国内の港を通過する全ての貨物の取引を円滑にするため、政府と協力している。ドバイ政府は2020年までに、政府が扱う全ての資料や書類をブロックチェーン化する計画を明らかにしている。

この技術が既に採用されており、今後さらに導入が進むとみられる分野のいくつかを紹介する。

 投票 ─ 選挙の投票は将来、ブロックチェーンを介して行われるようになるかもしれない。ブロックチェーンの監査トレイルは有権者の身元の認証を行い、その人の投じた票にその後変更がなされていないことを誰でも確認できるようにする。これにより、不正を行うことは事実上不可能になる。

・ 音楽ストリーミング ─ 違法ダウンロードによって、アーティストたちは収入の86%を失っていると推計されている。ブロックチェーンはアーティストたちがレコードレーベルを介さずに直接、ロイヤリティーの支払いを得ることを可能にする。

・ 不動産 ─ 不動産の売買には、大量の書類の作成や長い時間がかかる手続き、高額の仲介手数料が付き物だ。だが、ブロックチェーンを使えば、その仲介者を必要とすることなく、誰でも土地の所有権を移転し、追跡し、管理することができる。

この分野では現在、米国のユビットクイティ(Ubitquity)が唯一、ブロックチェーを利用した不動産取引サービスを提供している。

編集 = 木内涼子

 

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