【4月7日 時事通信社】米軍は米東部時間6日午後8時40分(日本時間7日午前9時40分)ごろ、シリアの空軍飛行場に対し、巡航ミサイル59発を発射した。シリアのアサド政権に対する軍事攻撃は初めて。トランプ米大統領は、アサド政権が化学兵器を使用して攻撃を行ったと断定し、「致死性の神経ガスを使って、アサドは無力な男性、女性、子供の息の根を止めた」と強調。対抗措置として化学兵器攻撃の拠点となった飛行場への攻撃を命じたと明らかにした。

 米中首脳会談のためフロリダ州に滞在中のトランプ大統領は声明で「シリアでの虐殺と流血を終わらせることを目指すため、全ての文明国に参加を呼び掛ける」と国際社会に協力を訴えた。さらに「化学兵器の拡散と使用を抑止することは、米国にとって死活的利益だ」と指摘。「アサド政権に振る舞いを改めるよう求める国際社会の試みは失敗した」と断じた。

 米国はこれまでシリア内戦で、過激派組織「イスラム国」(IS)などテロ組織の掃討作戦を進める一方、アサド政権の後ろ盾であるロシアの反対で、アサド政権への攻撃は避けてきた。2011年に始まったシリア内戦は、米国の軍事攻撃により新局面を迎えた。

 米国防総省によると、地中海東部に展開した米駆逐艦「ポーター」と「ロス」から、巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射。中部ホムス県の飛行場を狙い、航空機のほか燃料庫、弾薬庫、防空システム、レーダーなどに攻撃を加えた。標的の飛行場は、化学兵器の保管に用いられていたとされる。ロイター通信は国防当局者の話として、攻撃は1回限りのものだと報じた。(c)時事通信社