東京都の築地市場(中央区)の移転問題を検証する市場問題プロジェクトチーム(PT)の小島敏郎座長(弁護士)は8日、築地市場を現在地で再整備する私案について仲卸業者らに説明。総事業費を700億円余と見込んでいることなどを明らかにした。業界団体で構成する築地市場協会の伊藤裕康会長は同日記者会見し、私案について「市場を知らない人が書いた」と批判した。
小島座長の説明では、再整備の総事業費は約734億円と見込んでいるが、土壌汚染対策などは含まない。調査・企画に1年半、工事に5年半の計7年間かける。既存の建物を解体して種地を確保し、場内で移転を繰り返しながら工事をする「ローリング工法」を採る。
豊洲市場(江東区)は約150億円かけて解体し、跡地は約3200億~4370億円で売却するとした。跡地の評価額の具体的な算定根拠は示さなかった。都の用地取得費は1900億円弱だった。
説明会では、豊洲移転に慎重な仲卸から賛同する意見があがった。移転推進派は欠席した。
築地の再整備は1990年代前半に工事に着手したが、頓挫した経緯がある。説明に先立って開かれた記者会見で、市場協会の泉未紀夫副会長は「30年間、できもしないことにさんざん振り回されてきた。これ以上移転が遅れるのは時間、カネ、マンパワーのロス」と再整備に反対する考えを強調した。