CNNなどではその後も、ほぼ全面的に、米国のシリアの空軍基地に対するミサイル攻撃関連の番組を流していますが、国際的反響は、(当然のことながら)シリアとロシアが激しく米攻撃を非難し、シリアに至っては米はISとアルカイダを支援しているなどというコメントを流しています
他方、西欧は英仏独その他がいずれも、米の措置を支持していますが、珍しいことにal qods al arabi net は、日本の安倍首相が米の断固たる措置を支持したと報じています。
中東では、サウディ、、トルコ、カタールヨルダン等が、米支持を強く打ち出したとのことですが、イランはアラビア語メディアでは気が付きませんでしたが、当然激しく非難でしょうね。

と、ここまでは誰でも想像できる反応で、それほど注目すべき点はないと思われますが、問題は今後の米国の対シリア政策、米ロ関係の推移だろうと思います。
その点で、非常に興味があるのは、ロシアがプーチンを含めて米国の攻撃を(ある意味では口を極めて)非難していて、また米国務長官がアサドが化学兵器を維持し、それを使用したにはロシアに責任があるという異例の強い非難をしたにもかかわらず、彼のモスクワ訪問(確か、今週末か来週の予定ではなかったか?)がキャンセルもされずに、彼がモスクワ訪問をするらしいことです。
もう一つは、CNNで元米軍将軍とかいう男が言っていたことですが、今回の攻撃について米国は事前にロシア政府に通告をし、またロシア兵が巻き込まれないように細心の注意を払い、他方ロシアは強力な地対空ミサイルをシリアに保持しているにかかわらず、米軍の59発の巡航ミサイルを捕捉しようとしなかった、という点です。
要するに、今回の攻撃も、ある意味では軍事力を使った政治的メッセージという意味合いが強く、米もロシアも口では相手を激しく非難するが、実際の行動では両国の関係が、極端に悪化しないように自制しているということのようです。
あまり歓迎はしませんが、どうも米ロの関係は冷戦時代の米ソの関係に似てきましたね!
その意味で、国務長官の訪問で、表に出てくる話は別にして、双方が何をどこまで話すのかが、非常に注目されます。もちろん、そんな話はなかなか外には出ないでしょうが・・・・

もう一つの興味(と言ったら叱られますが)は、中国の主席とトランプの会談です。
もちろん周主席はこの事件があったからと言って、席を立って帰るようなことはせず、日本時間今晩首脳会談があるはずです。
そこでは、当然2国間貿易問題、朝鮮問題に加えて、この事件も話し合われるとみられます。
そこで注目しているのは、この事件が中国に対しても、一つの大きなメッセージになるのではないか?要するに、(シリアについてのロシアの立場と同様に)中国が北朝鮮を抑えるべきで、そうしてくれればよいが、中国がそれをしない場合には、米国としては北朝鮮に対しても同じように軍事行動をする用意があるというメッセージではないか、それを意識してわざと周主席との会食後に攻撃したのではないか?などという疑念が持ち上がってきます。
まあ、そこまで行くといつも嫌いだ、嫌いだと言っている陰謀史観を自分で口にすることになるので、気が引けますが意図するとしないとにかかわらず、そういう効果もあるのではないでしょうか?
会談後の明日の発表ぶりが楽しみですね!!

米国の今後の対シリア政策については、トルコではこの際一挙にアサドを追い落とすべきだ、などの議論もあるようですが、どうやら米国はそこまで、というか現時点でアサド云々までは考えておらず、当面はラッカ攻略を粛々と進めるという見方が強いようですね。
もちろん、この辺も国務長官のロシア訪問の結果やアサドの反応ぶり等にもよるのでしょうが、とにかくおかげさまで中東はにわかに慌ただしくなって来た感じがします