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【首都スポ】

[ラグビー]全国高校選抜女子セブンズ 国学院栃木ミラクルV

2017年4月8日 紙面から

表彰式を終え、笑顔で記念撮影に応じる国学院栃木の選手たち=熊谷ラグビー場で

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◇決勝 国学院栃木14−12追手門学院

 ミラクル進撃で日本一つかんだぞ!! 5日に埼玉・熊谷ラグビー場で行われた7人制ラグビーの全国高校選抜女子セブンズ大会で、劇的な初優勝を飾ったのが国学院栃木だ。準決勝では5連覇を目指した石見智翠館(島根)にラストプレーで追いつき、執念ドローで抽選勝ち。追手門学院(大阪)との決勝でもラストプレーで逆転勝ちした。登録人数は参加規定ギリギリの10人、日本代表やアカデミー選手の精鋭から競技歴1年未満の初心者まで並ぶデコボコ軍団が、日本一をつかんだ大活劇を再現する。 (文・写真=大友信彦)

 まさに国学院栃木のミラクル進撃だ。準決勝は5連覇を目指す女王・石見智翠館を相手に、4度もリードが入れ替わる大熱戦。最後は7点を追う後半ロスタイムに、7人制女子日本代表(愛称サクラセブンズ)候補のBK田中笑伊(3年)がトライとゴールを決めて執念のドロー。抽選で決勝進出を果たした。

 そして迎えた追手門学院との決勝。前半は12点を先行され、ハーフタイム寸前には1人が危険なプレーでシンビン(一時退場)処分を受け、2分間にわたって数的不利の状況に追い込まれるが、ミラクル軍団はここから真価を発揮した。

 1人少ない中で、15人制女子日本代表(愛称サクラフィフティーン)の小西想羅(そら、3年)が相手キックをチャージして、そのまま反撃開始のトライ。そこから自陣に攻め込まれても、粘り強いタックルで耐えて迎えた残り0分だった。ターンオーバーから自陣ゴール前でボールを持った田中が、セオリーを破ってキックを蹴ると、猛然とダッシュして自らキャッチ。相手タックルを引きつけ、サポートしていた主将のBK内海春菜子(はなこ、3年)にオフロードパスを送る。

 「裏が空いていたので『蹴って取ってオフロードするよ』とハナコに言ってたんです」(田中)

 その言葉通りにボールを受けた内海が抜けだし、さらにパスを受けた、こちらもセブンズアカデミー生の秋山歩花(あゆか、3年)が約50メートルを独走する。

 「交代なしで4試合戦ったから、もう疲れ切って、足が動かなかった。でも去年の悔しさがあったから」

 昨年のこの大会には県内他校との合同チーム「栃木選抜ストロベリーズ」で出場し、決勝で石見智翠館に敗退。福岡のワールドユースでは準決勝で前年優勝のハミルトンガールズ(ニュージーランド)を破りながら決勝で追手門学院に敗れた。

 「その悔しさを晴らしたい。どうしても勝ちたかった」。田中も、秋山もそう強く願っていた。

 逃げる秋山に追手門DFが迫る。

 「追いつかれそうだったけど、くねくねすればタックルしづらいだろうと思って」

 疲れていたのは相手も同じだった。コースを左右に変えると、相手はバランスを崩し、ジャージーの裾をつかまれてもふりほどき、そのままゴールポスト下へダイブ。トライで同点とすると、走りきったばかりの秋山が逆転ゴールを狙う。

 「レフェリーに時間を確認して、ゆっくり時間を使って蹴りました。落ち着いて蹴らないと入らないから」

 そして蹴ったボールは見事にバーを越えた。と同時にタイムアップのブザー。劇的な逆転サヨナラ優勝だ。「最後は気力で走ってくれた。感動しました」。吉岡肇監督(55)は目を潤ませていた。

 メンバーは登録下限の10人で、控えは柔道部から借りた選手と、故障上がりというギリギリの布陣ながら、執念でつかんだ日本一。「トップ選手も素人もいるデコボコ軍団」(吉岡監督)が、女子ラグビーの歴史に名を刻んだ。

     ◇

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