【ロンドン=小滝麻理子】スウェーデンの首都ストックホルム中心部で7日、トラックが人混みに突っ込んだ。地元メディアによると少なくとも3人が死亡し、複数の負傷者が出ているもようだ。スウェーデンのロベーン首相は「あらゆる状況はテロ行為であることを示している」と述べ、テロの可能性を視野に捜査する考えを示した。
地元メディアなどによると、事件が起きたのは7日現地時間午後2時50分ごろ(日本時間同9時50分ごろ)。ストックホルム中心部にある中央駅近くのデパート付近で、多数の歩行者にトラックが突っ込んだ。地元テレビはトラックがデパートの建物に激しく追突し、煙を出している様子を映している。
警察当局は「複数が負傷し、死亡者もいる」と発表した。現時点では「逮捕者はいない」としたうえで、「昨今の欧州の出来事を考えると、テロ行為である可能性は排除できない」と指摘した。
現地メディアによると、事件に使われたトラックは同国の飲料会社のもので、事件前に乗っ取られた。現場で複数の銃撃音がしたとの証言がある。ストックホルムの別の場所でも銃撃音が聞こえたとの報道もある。
トラックが突っ込んだ現場は買い物客でいつもにぎわう繁華街。現地メディアは大勢が必死に走って逃げ、「現場は完全なるパニック状態に陥った」との目撃証言を伝えた。現場周辺には割れたガラスなどが散乱し、重装備の警察や救急車両が駆けつけ、騒然とした雰囲気が続く。
地元当局は電車と地下鉄の運行を全て停止し、中央駅から避難するよう指示した。外出を控え、ストックホルム市内に近づかないよう警告も発した。
現時点でテロ行為かどうかは不明だが、欧州では近年、車両を使ったテロが相次いでいる。16年7月にフランス南部のニースで海岸沿いの遊歩道にトラックが突っ込み、観光客ら80人超が死亡。同年12月にはドイツの首都ベルリンのクリスマス市にトラックが突入し、12人が死亡。先月22日にはロンドン中心部の国会議事堂近くに車両が突入し、5人が犠牲になった。