自宅などで最期を迎えようとしている終末期の患者に対する救急隊員の対応について、各地の消防本部や救急隊員、医師らでつくる「日本臨床救急医学会」は7日、提言を発表した。心肺停止後の蘇生処置を望まないと事前に書面で残している場合、かかりつけ医に是非を直接確認した上で蘇生処置を中止するよう求めた。
総務省消防庁の基準では、生命に危険がある場合、応急処置を行うよう定めている。ただ最近は蘇生処置を拒否する意思を事前に表す人が増えている。こうした場合への対応は示されておらず、現場では救急の原則か患者の意思尊重かで対応に苦慮している。
同学会は2015年4月に検討委員会を立ち上げ議論してきた。
提言によると、患者が心肺蘇生を希望していない場合、家族は「119番通報をしないのが望ましい」としている。しかし容体の急変に慌てて救急車を呼んでしまうことがある。こうしたケースでは現場に駆けつけた救急隊員は、家族などから蘇生処置を希望しないとの書面の提示を受けたとしても、心肺蘇生を始めるべきだとした。
その上で、かかりつけ医と連絡をとり、中止を指示されれば患者本人の意思を尊重して心肺蘇生を中止する。かかりつけ医と連絡がとれない時は、日常の救急業務で相談している医師を代役として指示を求めるべきだとしている。
都内で記者会見した同学会の坂本哲也代表理事は「提言を参考に、地域の消防、医師会などが集まって運用をどうするか議論していただきたい」と述べた。