だが不思議なことに、民進党はそう考えていない。参議院で安倍総理にこう迫った(上記毎日記事から引用)。
「証人喚問で証人によって語られた内容というのはですね、これは基本的に真実だと、こういう受け止め方を少なくとも私たち国会はするべきだと。そうでなければ証人喚問行う必要はもう全くないじゃないか」(民進党の斎藤嘉隆参院議員)
刑事裁判に当てはめてみよう。すると、こうなる。証人によって語られた内容は基本的に真実だ、こういう受け止め方を、少なくとも裁判所はするべきだ。そうでなければ証人尋問を行う必要は全くないではないか。以上のごとく途方もない暴論となる。そもそも証言には、被告人に有利なものも、不利なものもある。そのどちらもが「基本的に真実」であるはずがない。
いや、われわれは刑事訴訟の話をしているのではない―そう反論するのかもしれない。ならば、聞く。あなたたちは、いったい何の話をしているのか。刑事訴訟の話でないなら、行政手続として適正か否かといった問題に過ぎまい。ならば会計検査院の手に委ねればよい。なぜ国会で、それも予算委員会や決算委員会で延々この話を続けているのか。
民進党ら野党は、なんと安全保障委員会でも、連日この問題(と南スーダン「日報」問題)で稲田朋美防衛大臣を追及した。テレビや一部新聞も連日それを報じてきた。その間も、北朝鮮は新たな核実験やICBM(大陸間弾道ミサイル)試射の準備を続けている。尖閣諸島の領海には、中国公船が侵入を繰り返している。
蛇足ながら拙著最新刊『日本の政治報道はなぜ「嘘八百」なのか』(PHP新書)に巻かれた帯のコピーを借りよう。「迫り来る危機をなぜ報じない!?」。与野党の国会議員にも、こう聞きたい。迫り来る危機をなぜ論じない!?
もう、森友劇場は閉じよう。私は見飽きた。もはや国会の質疑に興味もわかない。