以上を踏まえ、民進党に対し、こう詰問できるのではないだろうか。幼稚園に侵入しかけた、作業員を送り込んだ、それは嘘だ、そんなことはあり得ないと、そう真っ向から否定するコメントを発表するのであれば、それを立証するだけの、何らかの根拠がないといけないんじゃないですか?
安倍総理が国会で答弁した通り「民進党の辻元清美氏にも同じことが起こっている」。そういうことになってしまうのではないだろうか。
百歩譲って「総理と野党議員は違う、国会証言とメールを同列で論じるべきでない」としても、テレビや一部新聞が片方だけを繰り返し報じ、もう一方を報じないのは、おかしい。
今度は産経新聞の記事を借りよう(産経サイトから引用)。なお以下の「24日」は3月24日、「党」は民進党、「このような誤った内容」は、上記の辻元問題を指している。
「一連の問題では党役員室が24日、『メディア各位におかれては、このような誤った内容を拡散しないよう強く求めます』とのコメントを出した。首相には説明責任を強く求め、昭恵夫人の証人喚問を主張しながら、報道には自主規制を要請したように受け取れる」
再び、以上を踏まえ、こう受け止めることもできよう。上記メディアらが、総理夫人の証人喚問要求を報じながら、一向に辻元問題を報じないのは、民進党(の要請)に配慮したからに違いない。だとすれば、そこには公共放送(NHK)の使命感もなければ、「進歩的精神」(朝日綱領)の矜持もない。ジャーナリズムとして失格である。
正直に告白しよう。私はいわゆる森友問題に興味がわかない。ただ、法学を学んだ者として、これだけは言える。安倍総理は上記答弁で「悪魔の証明」と表現したが、正確には挙証責任(立証責任、証明責任)の問題である。
菅義偉官房長官も3月29日「証拠のない言い合いを続けるよりは、誰にでもわかる客観的な証拠を示すことが必要」と会見したが、そうした「真偽不明の場合」(ノン・リケット)を処理する概念である挙証責任の問題である。
その上で(法的にも現実的にも想定し難いが)あえて刑事訴訟の可能性を踏まえて論じるなら、「疑わしきは被告人の利益に」。つまり挙証責任は、被告人(に擬せられている安倍夫妻)ではなく、検察官(のごとく振る舞っている野党や一部メディア)が、すべて負う。それが近代法の原則である。