極めて危険な男が再び韓国の大統領候補となった。5月の大統領選に向け、最大野党「共に民主党」の公認候補に3日、選ばれた前代表の文在寅(ムン・ジェイン)氏だ。貧困から成り上がった苦労人で気さくな人柄の一方、頑迷な「反日」主義者として知られる。「従北」「反米」的な考えを持ち、朝鮮半島の「赤化統一」の危機すらささやかれる。日本だけでなく、東アジアの安全保障を脅かしかねない文氏の正体に迫る。
3日まで4回にわたって実施された共に民主党の予備選で、文氏は57%の累計票を得て圧勝した。候補受諾演説で文氏は「不正腐敗や不平等の積弊を完全に清算する」と述べ、保守からの政権奪取を訴えた。
文氏は1953年、韓国南部の巨済(コジェ)島に生まれた。両親は朝鮮戦争で北朝鮮から韓国に逃れた避難民。現在の「親北」ぶりが、出自によるものかは定かではないが、北朝鮮との縁があることは間違いない。
家は貧しかった。ハンギョレ新聞(日本語版)によると、文氏は貧しさのためにトウモロコシのおかゆ給食で食事を済ませ、月謝が払えず、授業の途中に教室から追い出されたこともあった。
その半生は保守派との戦いに彩られている。名門、慶煕(キョンヒ)大学に在学中、朴正煕(パク・チョンヒ)政権に反対する民主化闘争に参加し、75年に投獄された。
80年に司法試験に合格して弁護士になり、82年に、その後大統領になる盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏と釜山に法律事務所を開設した。2002年に盧氏が大統領選に出馬すると選挙戦を支え、03年の盧政権発足後は大統領秘書室長など要職を歴任した。