ある日のこと、ボツワナの中央カラハリ動物保護区を訪れていた野生動物写真家のグラハム・ダイアーさんは、路上でライオンの群れを発見した。
その群れは単独のメスライオン、3匹の子どもを連れたメスライオン、オスライオン1匹の合計6匹で構成されている。
群れは途中で子ギツネに出くわしたようで、キツネが威嚇している声が聞こえる。ダイアーさんが良く見える位置まで近づいていくと、そこには驚くべき出来事が起きていたのだ。
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傷つきながらも必死に抵抗する小さなキツネ
動物保護区を訪れたグラハム・ダイアーさん一行は、区内の道端でライオンの群れを見かけた。一行は、すこし遠い位置にいたので、徐々にその距離を縮めていくと、何かの威嚇音が聞こえた。
群れにいたオスライオン
image credit:Graham Dyer
ダイアーさんらは音のする方向へと向かっていくと、そこには攻撃され傷を負ったオオミミギツネの姿があった。
キツネはすでに攻撃を加えられた後だった。脊髄を損傷したようで動くことができない。それでも必死に抵抗しており、メスライオンの顔に傷を負わせた。
image credit:Graham Dyer
そこにオスがやってきた。
今まさにとどめの一撃が加えられようとしている。
image credit:Graham Dyer
身を守ろうとするキツネに母ライオンが動いた!
勇敢なキツネは警戒しつつ5〜6分の間ライオンたちに向かって唸っていたが、そのうちライオンが近づいた時だけ威嚇するようになった。
オスライオンはあまりお腹がすいていないのか、猛攻をしかけるようなことはなかった。オスライオンは子ギツネの正面に腰を下ろした。母親ライオンは終始キツネを気にしていた。
image credit:Graham Dyer
その後、彼女はそっとキツネのそばに身を寄せると、あからさまにオスライオンをけん制する位置を陣取った。
image credit:Graham Dyer
子ギツネを守るように、そのそばに腰を下ろしたメスライオン。
image credit:Graham Dyer
オスライオンが立ち上がりキツネに近づいてきた。
image credit:Graham Dyer
そしてオスラインがキツネを見下ろした瞬間
image credit:Graham Dyer
彼を威嚇して攻撃してキツネを守ったのだ
image credit:Graham Dyer
オスライオンが近づくのを激しくけん制するメスライオン
image credit:Graham Dyer
何が起きているのかわからないといった感じのオスライオン
ムっとした感じで吠え始めた。
image credit:Graham Dyer
奇跡的に命拾いしたキツネ
子どもたちはキツネに興味津々だったが、さほど寄りつきはしなかった。一方、仲間に攻撃されたオスライオンは居心地が悪かったのか、おもむろに子ライオンたちのそばに近寄った。母親ライオンも合流し、一見何事もなかったかのような雰囲気が漂った。
image credit:Graham Dyer
すると突然、遠くでほかのライオンたちが食べ物を巡って争うような音が聞こえた。群れはそれに耳をそばだてて一瞬動きを止めた。そしてリード役のメスライオンとオスライオンはすぐにその方向に走っていった。
母親ライオンはキツネの方を振り返った後、子どもたちと共にゆっくりと去っていった。そしてキツネだけがポツンと残った。
「お母さん、なんか音がしたよ?」母親によりそう子ライオン
image credit:Graham Dyer
「さあ、行きましょう」
母ライオンはキツネを残し、子どもたちを連れて去っていった
image credit:Graham Dyer
残された子ギツネはどうなったのか?
ダイアーさんによると、突然残されたキツネは困惑しているように見えたという。だがまもなくなんとか立ち上がった。
その後キツネは近寄ってきた2匹のジャッカルを、残りの力を振り絞って威嚇して蹴散らし、警戒しながら草の中で横たわった。ダイアーさんは彼の回復を祈りつつ、保護区を後にした。
子どもたちを抱えていた母親ライオンは、確かに小さなキツネを守ろうとしていた。たとえ母性本能に動かされたとはいえ、獰猛なライオンが弱い動物に情けをかけるのは珍しいケースだ。
ただの気まぐれだったかもしれないし、空腹ではなかったという好条件も重なったのだろう。母親ライオンの庇護を受け、ライオンから逃れただけでなく、ジャッカルたちをも蹴散らすキツネはかなりの強運の持ち主だ。
弱肉強食が掟であるジャングルの中で起きた奇跡の出来事だ。
via:dailymail、boredomtherapy、africageographic・translated D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
かわいそうだが脊髄損傷してるならだめだろうね
まぁ、ここで助けず自然に任せるのが・・・
どうだろうね。難しい。
2. 匿名処理班
親からはぐれたインパラの子供を保護した雌ライオンの話もあるな
こちらは雌ライオンも子をなくしてしかも群れからはぐれてしまった状態なので
たとえ空腹でも決して食べようとしなかった
運良くインパラは親と巡り合うことができたけど
1頭残された雌ライオンは何かさみしげだったな
母性愛は偉大だ
3. 匿名処理班
最後のジャッカルの件でグレイフォックスが脳裏をよぎった
4. 匿名処理班
キツネにちょっかい出そうとしておこられるオスライオン
5. 匿名処理班
オスライオン的には晩飯の準備をしようとしたらオカンが晩飯を庇い出したと言う意味不明な状況か
野生は狩りにリスクを伴うから空腹でない限り狩りに積極的で無い事が多いとは聞いてたけど、色んなことがあるもんだ
6. 匿名処理班
野生の動物の方が、他の動物の命を奪って食べてる悲しみを、
ガチで感じてたりするかもしれない
7. 匿名処理班
おれらといったら。。。
8. 匿名処理班
人間も路上で(動物に対して)似たようなことをせざるを得ないことがあるよね。
助けることはできない。でも私たちが殺す必要はない。
かわいそうだけど、生きられるだけ生きてくれと。
9. 匿名処理班
父「セミとってやる」地面に転がってるセミに手を伸ばす
母「かわいそう!やめてぇ!!」父にケツ蹴り
父吹っ飛ぶ、セミ逃げる。
小さいころの思い出がよみがえった。
10. 匿名処理班
ママライオンはどんな心情だったんだろうなぁ
慈しみなのか本能的な母性が働いたのか
11. 匿名処理班
猫はキツネの眷属とも言うし
12. .
子ライオンの狩りの練習台にしようとしたのではなかろうか
13. 匿名処理班
腹減って無くても殺したりしてたら絶滅してしまう。
そしたら自分達が本当に困った時に如何しようも無くなっちゃうからね。
コレも自然の摂理の一部なんじゃないかなぁ
食物連鎖の頂点に居る者としては可なり重要な行動な気がする
14. 匿名処理班
子ライオンになんとなーく似てるしな
母性が刺激されたのか
しかし動けないレベルでケガしたら野生では生きていけないんだろうな…キツネ
すんごい強運で生き延びてりゃ嬉しいけどな
15. 匿名処理班
あんまり関係ないんだけど、ライオンの雄ってまさに百獣の王という感じの見た目でひれ伏したくなる 美しさすら感じる
16. 匿名処理班
ダイアーさん
17. 匿名処理班
いや、単に私と子供たちの飯に手を出すなって威嚇しただけじゃあ?
そして、他にもっといい餌が見つかったから放置して去ったと
みな夢を見過ぎじゃ?
18. 匿名処理班
うぅ〜〜〜ん、解釈は色々だよね。ライオンに聞いてみないと
19. 匿名処理班
最後は美味しくお食べになるんでしょ?
20. 匿名処理班
あら、いつもみたいに動画あると思ったらないのか
21. 匿名処理班
※1
人間を特別視する差別主義者おおいよね。
人間も自然の一部なんだから、ライオンがやったように助けたってなんの問題もない。
22. 匿名処理班
自然はシンプルで複雑だ
23. 匿名処理班
昔、ハイエナだかジャッカルの群れに襲われている
傷ついたサイの子供を助ける雄ライオンの映像をTVで観たなぁ。
子サイが親サイの元に駆け寄るまで見守っていて、サバンナの王者感があった。
まあ、実は餌の横取りを狙ったけど、親が近くにいるから
諦めただけなのかもしれないけどw
24.
25. 匿名処理班
その後のキツネの安否はあまり想像したくないけど、それが大自然だからこちらが手を出してはならないのだろうなぁ…
とは言え複雑な気分にはなるね…
26. 匿名処理班
色んなものを無視してキツネを助けたい
27.
28.
29. 匿名処理班
母性って不思議だなぁ
30. 匿名処理班
※21
気持ちはわかるが「そこで生きているライオン」と「そこに本来いない人間」とはやっぱり違うと思う
31. 匿名処理班
キツネを食べる動物だって自分の子供を育てなきゃいけないのさ。
キツネよりみにくいハイエナだって飢えてたらかわいそうだ。
32. 匿名処理班
ここで撮影者がキツネを助けたら、不自然だって怒る人がいるのかもしれないけど、自分は助けて欲しかった。人間だって自然の一部でそこにいたことだって何かの必然で自然なんだから・・。自然にまかせるって何なんだろう。膨大かつ信じられないほど短期間に森や林を切り倒し土や浅瀬にいるたくさんの生物の上にコンクリートを敷いて出られなくして殺して道路や工場やスキー場を作り、海や湖に大量の農薬洗剤汚水を流して油まれみになって動けなくなって死んでいく水鳥やアザラシ達・・・。あきらかに致命傷を負って死ぬ運命しかない野生動物一匹を救うことが不自然なのか・・・。捕食者がいるんだからそのままにしおくことも自然なのかもしれないけど、自然の一部である人間が助けてもそれも必然で自然だと思うんです。
33. 匿名処理班
自然はほんと厳しいよなぁ・・・
南極で凍えるペンギンとかめちゃくちゃ助けたくなる
34. 匿名処理班
この雌ライオンがキツネを守ろうとしたのかは分からないけど、動物は人間が考えるよりずっと複雑な感情を持ってるんじゃないかと思う。本当は何を考えているかなんてそいつしか分からない。
35. 匿名処理班
ボス交代の時に自分の子供を雄ライオンに殺された記憶が刺激されたとか?
なんにしろ、おかあにゃんと子ぎつねに幸あれ
36. 匿名処理班
キツネさん大きさといい色といい子ライオンににてるから
母性本能でちゃったんだなあ。
父ちゃんも本気出せばかあちゃんなんてすっ飛ぶんだろうけど
家庭の平和のために晩酌の肴はあきらめたんだろう。
キツネさんでも動けないなら夜のあいだに食われて終わりだよね。
37. 匿名処理班
※30
ペンギンといえば、海の中にシャチがいるかどうか試すためにとりあえず仲間を突き飛ばして落としておいて様子を見るというのも興味深い
38. 匿名処理班
狐が猫の眷属なんて初めて聞いてぞ
ネコ目犬科でしょ
39.