こちらのニュースを見て思ったことをば。
東京都によると、足立区の生後6カ月の男の子は、2月22日午後3時ごろ、都内の医療機関から保健所に連絡が入り、けいれんや呼吸不全の症状で救急搬送された。
男の子は、3月30日に亡くなり、蜂蜜を食べたことで、ボツリヌス菌が体内に入った乳児ボツリヌス症が原因だという。
子どもを持つ親にとっては、「乳児には蜂蜜を食べさせないのは当たり前」なのかもしれないが、子育てに関する情報を今の親世代がどこで仕入れているかを考えると、このような事故が起こってしまったのも必然的なものなのかもしれない。
というのも、「離乳食 レシピ」と検索して上位表示されるサイトを確認してみると、紹介されているレシピの中に蜂蜜を用いているものがあったのだ。
調べてみると、ボツリヌス菌は芽胞を形成するため、熱にも耐性があるとされている。「熱処理をすれば問題ない」と紹介しているサイトもあったが、もしかするとこうしたコンテンツの情報を参考にした母親が乳児に蜂蜜を与えるというケースは、大きな事故に至っていなかっただけで、過去にもあったのかもしれない。
乳幼児に野菜ジュースにハチミツをまぜ離乳食として与えたところボツリヌス菌により乳幼児がお亡くなりになったそうでHPなどでレシピとか載ってるのではないかと調べたらやはり普通に有りました
— まつげ (@eyelashes_king) 2017年4月7日
加熱してるから大丈夫なようになってるけどボツリヌス菌は熱に強い芽胞状態なので使わない方が良いです
ツイッターにもこのような言及が。
今回のケースのように、識者にとっては「明らかに間違った情報」がネット上では普通に散見されることもそう少ない話ではない。インターネット上の情報はある種伝言ゲームで過去から今に間違った形で伝わっている可能性があり、その情報が一度検索エンジンで上位に表示されたり、バズって拡散されるコンテンツになれば、誤った情報をソースとしてさらに誤った情報が生まれる伝言ゲームが繰り返されてしまう。
きっとコンテンツの制作者も、意図的に蜂蜜を食べさせて乳児の被害を増やそうと思っているわけではないだろう(今回乳児に蜂蜜を与えてしまった方が、必ずしもネットの情報を参考にしたとは言えないが)。こうした無意識による情報拡散と、それによる功罪は、今後もさまざまな形で姿を見せていくようになることは間違いない。
2年ほど前の記事になるのだが、ハフィントンポストが紹介している東京大学教養学部長による卒業式でのスピーチが、インターネット上の情報の扱い方(=メディアリテラシー)についてのクリティカルなメンションになっている。
善意のコピペや無自覚なリツイートは時として、悪意の虚偽よりも人を迷わせます。そしてあやふやな情報がいったん真実の衣を着せられて世間に流布してしまうと、もはや誰も直接資料にあたって真偽のほどを確かめようとはしなくなります。
全文は下記リンクよりご確認ください。
▼参考リンク
最後に、今回亡くなってしまった6ヶ月の男の子のご冥福を深くお祈り致します。そして自分もインターネット上で情報を扱う職業に就いている者として、その扱い方には十分注意しなければならないと改めて肝に銘じた次第です。