チャットモンチーは永遠の挑戦者?変わり続ける二人の核心を訊く
チャットモンチー『Magical Fiction』- インタビュー・テキスト
- 三宅正一
- 編集:山元翔一
「チャットモンチー・メカ(仮)」。これは、2012年の『変身』期以来、ふたたび「二人きりのバンド」になったチャットモンチーにつけられた冠だ。これまでのチャットの歩みは前回のインタビューに詳しいが、「男陣」(恒岡章、下村亮介)と「乙女団」(北野愛子、世武裕子)という布陣で臨んだデビュー10周年シーズンを経て、二人編成で新たなフェイズへ突入することを決意した。
新曲の制作と現在開催中のツアーで打ち込みを導入し、ミニマムな生音とかけ合わせることで新たな音楽像を形にしようとしている「チャットモンチー・メカ(仮)」。80'sテイストの踊れるポップミュージックをチャット流に昇華し、ローファイな音像でコーディングしたニューシングル『Magical Fiction』においても現在進行形のモードが顕著に表出している。
なぜチャットモンチーは、たとえ茨の道であろうとも、常にタフな冒険心を持ってバンドを続けられるのか? バンドの今を橋本絵莉子と福岡晃子にじっくり語ってもらった。
打ち込みで曲を作っても、二人の性格の違いがここまで音楽性に出るというのが面白いです。(福岡)
―今は『変身』期以来、ひさしぶりに二人で回っているツアー中でもありますが、手応えはどうですか?
橋本(Gt,Vo,Synth):あっこちゃん(福岡)が打ち込んだビートやシンセの音を流しながら演奏してるから、パソコンがもう一人のメンバーみたいな感じでライブをやっているんですね。スタジオでライブ用の音素材を打ち込みで作って、それをツアーに持っていって一緒に演奏してるので、少し前(準備期間中)の自分たちと一緒にライブをやってるような感覚があるんです。
福岡(Dr,Synth,Ba,Cho):確かに。今回から初めて打ち込みで音を作ってみたんですけど、ライブで披露するまでの時間が果てしなく長いなと感じるんですよ。ライブをやる度に軌道修正もしてるし、本当に終わりがない(ライブアレンジに完成型がない)という体験を初めてしています。あらためて、音って一つひとつが大事なんやなっていう気づきもありますし。
―打ち込みだからこそ、逆説的に人間力が問われるというか。
福岡:そうですね。今までは生演奏で感情を出すのがすべてだったけど、過去の曲を打ち込みでリアレンジするときも、ちゃんと熱量を持って曲と向き合わないといけないんですよね。それに、電子音ってなにかトラブルが生じて音が止まったらライブも中断してしまうから、より人がいないと成立しないんです。
音が出なくなっても、急にアコースティック編成でライブをやるわけにはいかないので、トラブルに対する対処法もスタッフが2~3パターン用意してくれてるんです。だから、これまで以上にスタッフと一緒にライブしている感覚が強くありますね。
―編成上は二人だけど、チーム感があると。『変身』のツアーはあくまで全部生音で成立させていたから、今回とはライブのあり方が全然違いますよね。
『変身』リリース時のツアーより。ギターの音を機材でループさせ、二人のみでギター、ベース、ドラムの3つの音を鳴らしている
福岡:全然違いますね。あらためて音楽というものを突きつけられてるし、ライブの奥深さに気づかされている日々です。でも、えっちゃん(橋本)の急成長ぶりがすごくて。2週間くらい前の話ですけど、「command+A(全選択のショートカット)を覚えたよ!」って言っていて、「まだそこ!?」って感じだったのに(笑)、その翌日には打ち込みで曲を作れるようになっていたんですよ。
―さすがのエピソードです(笑)。
橋本:もちろん、あっこちゃんやスタッフに教えてもらいながらですよ(笑)。
福岡:でも、本当に才能があふれてる。えっちゃんは、形状的にすごくバランスの悪い曲を作ってくるんですけど、それは絶対に私には作れないもので。打ち込みで曲を作っても、二人の性格と音楽性の違いがここまで出るというのが面白いです。
―でも、チャットモンチー(以下、チャット)は絶対的に機械や電子音に支配されないバンドだと思うんですよね。いくらライブで同期を導入したとしても、二人の人間力が際立つライブをやるんじゃないかって。
橋本:その要因はあっこちゃんにあると思います。あっこちゃんはフィジカルでパソコンに向かっているし、こっちがパソコンを支配してやるぞという意気込みが出てると思う。
福岡:それはえっちゃんにもあるけどね。そもそも二人で曲を作ってるときに打ち込みの音を動物に喩えるんですよ(笑)。全然それっぽくない音なのに「犬の声」とか「大ネズミの声」とか(笑)。それで私はトラック名に「大ネズミ」ってつけて、えっちゃんに「あの大ネズミの音を出して」と言われたときに「はいはい」って言って出すんです(笑)。
―それはもう、福岡さんじゃなきゃ対応できないですよね。
橋本:そうそう、あっこちゃんじゃないと無理(笑)。
リリース情報
- チャットモンチー
『Magical Fiction』初回生産限定盤(CD) -
2017年4月5日(水)発売
価格:1,366円(税込)
KSCL-2884
1. Magical Fiction
2. ほとんどチョコレート
3. かわいいひと
4. やさしさ -seb remix-
- チャットモンチー
『Magical Fiction』通常盤(CD) -
2017年4月5日(水)発売
価格:1,258円(税込)
KSCL-2885
1. Magical Fiction
2. ほとんどチョコレート
3. かわいいひと
- チャットモンチー
『Magical Fiction』(7inchアナログ) -
2017年4月19日(水)発売
価格:1,512円(税込)
KSKL-8531
[SIDE-A]
1. Magical Fiction
[SIDE-B]
1. やさしさ -seb remix-
イベント情報
- 『チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017』
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2017年4月15日(土)
会場:青森県 青森 Quarter2017年4月16日(日)
会場:岩手県 盛岡 CLUB CHANGE WAVE2017年4月23日(日)
会場:福島県 郡山 HIPSHOT JAPAN2017年4月27日(木)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE 242017年4月28日(金)
会場:北海道 帯広 MEGA STONE2017年6月4日(日)
会場:宮城県 仙台 Rensa2017年6月7日(水)
会場:福岡県 福岡 DRUM Logos2017年6月8日(木)
会場:広島県 広島 CLUB QUATTRO2017年6月15日(木)
会場:愛知県 名古屋 DIAMOND HALL2017年6月16日(金)
会場:大阪府 なんばHatch2017年6月19日(月)
会場:東京都 EX THEATER ROPPONGI2017年6月20日(火)
会場:東京都 EX THEATER ROPPONGI
プロフィール
- チャットモンチー
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橋本絵莉子を中心に2000年徳島にて結成。2004年春に橋本(Gt,Vo)、福岡晃子(Ba,Cho)、高橋久美子(Dr,Cho)の体制となり、2005年11月『chatomonchy has come』でメジャーデビュー。2011年10月より橋本と福岡の2ピース体制となり、楽曲ごとに担当楽器を変えるフリーフォームな形で録音したアルバム『変身』をリリース。それに伴う全国ツアーも2人のみで行われ、ファンのみならず、ミュージシャンからも熱い支持を得る。2013年5月、橋本が結婚及び妊娠を発表し、一時活動休止期間に入る。2014年8月に、恒岡章(Dr / Hi-STANDARD、CUBISMO GRAFICO FIVE)、下村亮介(Key, Gt / the chef cooks me)という男性サポート2名を迎えた4人体制で活動を発表。2015年1月には、世武裕子(Pf,Synth)、北野愛子(Dr / DQS, nelca / ex.your gold, my pink)という女性2名を迎えた4人体制での活動もあらたに発表。結成10周年にあたる2015年の5月13日に、2年7か月ぶりとなる6枚目のアルバム『共鳴』をリリース。11月には、約7年半ぶりとなるデビュー10周年記念の日本武道館公演をソールドアウトさせ、2016年2月には郷里・徳島にて主催フェス『チャットモンチーの徳島こなそんそんフェス2016~みな、おいでなしてよ!~』を2daysで初開催。大成功を収めた。2016年9月からは、再度2ピース体制でライブを行っている。チャットモンチーとしての活動の他、作詞提供やCM歌唱、絵本の作画や徳島観光ガイドブックの執筆など、個々でも多彩な活動を行う。