中国に菓子を輸出する中小企業A社は最近、中国税関から飴を「医薬品」に分類し直すよう指摘されて通関を拒否され、戦々恐々としている。パッケージに「ビタC」と書かれているため、ビタミン成分が入っているということで問題視されたのだ。また、機械類を輸出するB社は、上海港に到着した物品が2か月たっても通関されず、手を焼いている。中国税関が製品に貼られた釜山の英語表記「PUSAN」を「BUSAN」に修正するよう要求してきたのだ。また、製品に付けた日付表記「10-03-2017」についても、ハイフン(-)を削除するよう求めてきた。中国の要求を満たすためには、輸出する製品を全て韓国に返送して修正しなければならない。
製菓企業C社は、中国が終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に反発して「韓国締め付け」に乗り出した初期のころ、「この会社はロッテの系列会社だ」と「フェイクニュース(虚偽のニュース)」を流され、不買運動に遭った。問題の記事については削除措置を終えて真相を説明したが、中国の地方の小都市では依然としてロッテの系列会社だと思われており、販売不振に悩まされている。同社の関係者は「大手スーパーで実施していた試食イベントなどは、ほとんど中止か規模を大幅に縮小して実施した」と話した。
中国のいわゆる「THAAD報復」は今や、あらゆる方面に拡大している。中国当局が理不尽な言いがかりを付けて韓国企業の経営活動を妨害しているのだ。中国企業は「反韓感情」を活用し「韓国製品ではなく中国製品を購入しよう」と露骨なマーケティングを展開している。これまでは、THAADの敷地を提供したロッテが集中的に報復の対象になっていたが、今ではサムスン、現代自動車、SKなど大企業や中小メーカーにまで影響が拡大している。
中国のある自動車メーカーは、自社の車に「韓国ブランドに反対する」という旗を立ててデモを実施している。また「韓国車を買わないようにしよう」という横断幕を掲げる自動車売り場もある。
これについて、中国の報復があまりに巧妙で対抗措置が難しいという見方が挙がっている。世界貿易機関(WTO)に提訴するという案も出ているが、中国がWTOの規定に違反したということを具体的に証明できるような物証がないため、勝訴するのは難しい。梨花女子大のチェ・ウォンモク教授は「中国が、『韓国企業だけでなく他国の企業にも国内法を同じように適用している』と主張すれば、意義を唱えても勝つのは困難」だとして「綿密な対応戦略を準備するために、幅広い議論が必要だ」と指摘した。