3月6日(現地時間)、米国ホワイトハウスのブリーフィングルームを訪れた。韓半島(朝鮮半島)に米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の砲台が突然配置され、中国の報復カードを用いた圧力が最高潮に達した時だった。ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は「米国は同盟国と共にする。THAAD配置を通じて米国の防御能力を強化する」と伝えた。
問題はその次だった。ある記者が「THAAD配置に対する中国の報復についてどう思うか」と質問したところ、スパイサー報道官は「何に対する報復か」と問い返してきたのだ。記者が再び「THAAD配置に対する報復」と答えると、同報道官は「THAAD配置に対する(報復)?」と再び確認してきた。記者たちが執拗(しつよう)に中国の報復措置について質問したものの「米国はこの(中国の報復)問題については、これ以上議論を交わしていない」と回答を避けた。
同報道官の同日の態度からは、THAADに対する報復論議については初耳だと言わんばかりのニュアンスがうかがえた。これとともに中国との衝突はできる限り避けようとしていた。スパイサー報道官は同日、北朝鮮の呼称を「ノース・コリア」と一度も間違わずに発言したものの、韓国については一度「サウス・アフリカ」と発言。その後「サウス・コリア」と訂正する様子も見受けられた。
トランプ政権内で韓国の存在感が日に日に弱まってきている。北朝鮮は脅威的存在として日に日に存在感を増しているのに対し、同問題の最大の利害当事者である韓国の存在感は時間の経過とともに薄らいできている。
トランプ大統領は、2月23日に行ったロイター通信とのインタビューで、北朝鮮のミサイルによる脅威が「非常に危険な状況」と触れた上で「日本に対して非常に不公正だ」と言及した。日本の安倍晋三首相と首脳会談を行った直後ではあったが、韓国について取り上げもしなかったのは異例のことと言える。当時韓国政府の関係者は「韓国にとっては非常に当たり前のことで、直接取り上げなかったのだろう」と話した。