【テロ等準備罪】衆院本会議での質疑要旨 安倍晋三首相「内心を処罰することはない」、民進・逢坂誠二氏「恒常的な国民監視が前提の法案だ」
共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が6日の衆院本会議で審議入りした。質疑要旨は以下の通り。
土屋正忠氏(自民)「法案は、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するために必要な法整備を行うものだ」
安倍晋三首相「資金源を絶つことがテロ根絶の効果的な方策だ。条約は、テロを含む幅広い国際的な犯罪組織を効果的に防止するための枠組みであり、すでに187の国と地域が締結している極めて重要な条約だ。わが国が国際社会における『法の抜け穴』となるわけにはいかない」
逢坂誠二氏(民進)「首相は『共謀罪法案』を作らなければ日本はテロに対抗できない危険な国だ、という誤ったメッセージを世界に発信した」
首相「(治安)情勢は常に変化しており、テロ対策に『これで十分』ということはない。さらなる努力を放棄するような政党には政権を担う資格はない」
逢坂氏「恒常的な国民監視が前提の法案だ」
首相「対象となる団体をテロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの組織的犯罪集団に限定しており、一般の方々や正当な活動を行っている団体が適用対象になることはない」
国重徹氏(公明)「(環境保護団体などが)主義主張をアピールするための座り込みを計画しただけで、組織的犯罪集団にあたってしまうのではないかとの懸念の声がある」
金田勝年法相「一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が対象とはならない。自然環境や景観の保護などを主張する団体は、結合関係の基礎が正当な目的にあるものと考えられ、組織的犯罪集団にあたることはなく、座り込みを計画したとしても処罰の対象となることはない」
藤野保史氏(共産)「内心を処罰する法律を作れば、政権と捜査機関次第で恣意(しい)的に解釈され、自由な社会を押しつぶしていく」
首相「(過去に廃案となった)共謀罪について『内心が処罰の対象となる』などの懸念や批判を払拭するため、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにより、内心を処罰することではないことをより一層明確にしている。捜査機関が常時、国民の動静を監視する『監視社会』になることはない」
松浪健太氏(維新)「対象犯罪の中には著作権法違反などの親告罪がある。実行行為が親告罪であれば、計画行為も親告罪になる。この点を法文上も明文化すべきではないか」
金田氏「(計画行為も)親告罪となるものと考えている。明記するまでもなく、解釈上明らかだ」
松浪氏「GPS(衛星利用測位システム)捜査の立法も必要ではないか」
松本純国家公安委員長「最高裁で『立法的措置が講じられることが望ましい』旨の判決がなされた。判決の内容を踏まえ、関係省庁とも必要な連携を図りながら適切に検討する」