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【政論】非生産的な“逆上狙い”の挑発質問 「暴言」「激高」の今村雅弘復興相、弁解の余地ないが…

【政論】非生産的な“逆上狙い”の挑発質問 「暴言」「激高」の今村雅弘復興相、弁解の余地ないが…

衆院東日本大震災復興特別委員会で質問に答える今村雅弘復興相=6日午前、国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)

 福島原発事故に伴う自主避難者に「自己責任」と述べた今村雅弘復興相の“暴言”は弁解の余地がない。明らかに言いすぎであり、質問したフリーの男性記者に激高したことも閣僚の資質を疑わせる対応だ。

 ただ、記者は今村氏の逆上を狙ったかのように挑発的な質問を繰り返した。テレビのニュースは今村氏が声を荒らげる場面を中心に伝えたが、会見全体をみると記者の「引っかけ」にはまった様子がうかがえる。

 まず記者は3月31日に自主避難者の住宅無償提供が終了したことを挙げ「国の責任放棄ではないか」と尋ねた。今村氏は「一番被災者に近い福島県に窓口をお願いしている。国としてもしっかりサポートしていく」と応じた。その後、別の記者との質疑に移り、事務方は会見終了を告げた。

 ところが、フリーの記者は再び質問を始め、「国が率先して責任をとる対応がなければ福島県に押しつけるのは絶対無理だと思う」とただした。終盤の約4分半の間に22往復した質疑の末、記者はさらにたたみかけた。

 「なぜ帰れないか、実情を知らないのではないか。人のせいにするのは…」

 「責任持って回答してください」

 冷静だった今村氏も次第に感情的になった。

 「人のせいなんかしてないじゃないか」

 「責任持ってやってるじゃないか。何て無礼なこと言うんだ。撤回しなさい」

 そして「出ていきなさい」「うるさい」との発言につながった。まさに術中にはまったわけだ。

 今村氏が答える前に最初に「自己責任か」と問うたのも記者だった。今村氏が「避難者を困らせている」と断定調に主張し、質疑というよりは論争となった。 記者のツイッターをみると、在日外国人や慰安婦問題、原発、憲法、沖縄の米軍駐留といったテーマに関心が高く、安倍晋三政権に批判的な姿勢が目立つ。記者は会見の映像を撮影し、インターネットメディアに持ち込んだ。政権を追及するのは結構だが、「ためにする質疑」は生産的ではない。(酒井充)

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