昨日朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領が逮捕・収監される様子を目の当たりにした国民はまさに惨憺(さんたん)たる思いだ。朴前大統領はその無能さと頑固さ故に政策を混乱させて国民の支持を失い、その上崔順実(チェ・スンシル)という小さな火の粉から燃え上がった炎を消すことができなかった。問題が発覚した後も、事態をここまで大きくせず終わらせるチャンスは何度もあったが、現状認識のズレとそれに基づく間違った言動がすべてを台無しにした。
これまで「朴前大統領の逮捕は既定路線」との見方はかなり根強かった。その理由は何よりも朴前大統領の指示を受けてきた人物が次々と逮捕され、裁判を受けているためで、もし朴前大統領だけが逮捕されなければ公平性に大きな問題が出てくるからだ。ただし今回の逮捕は有罪の確定を意味するのではなく、あくまで円滑な捜査のための身柄の確保だ。また一方で他の関係者はすでに逮捕されているため、証拠隠滅の可能性を理由に朴前大統領を逮捕すべきかという疑問の声が根強いのも事実だ。
大統領経験者の逮捕は全斗煥(チョン・ドゥファン)・盧泰愚(ノ・テウ)元大統領に続いて朴前大統領が3人目だ。これまで韓国で大統領職を経験した9人は下野1人、殺害1人、逮捕2人、自殺1人と多くが悲惨な最期を迎えている。この衝撃的な数字に今回「弾劾と同時に逮捕1人」が新たに加わった。つまり大統領経験者の3分の2が人間として最悪の不幸を経験したのだ。一方で逮捕などされなかった3人も任期末は悲惨で、うち2人は今回の朴前大統領と同じく、在任中に問題が発覚し捜査が行われれば弾劾されていた可能性があった。このように大統領が次々と悲惨な最期を迎えるような国は世界にどこにもないのではないか。