韓国陸軍工兵部隊のある指揮官が地雷除去作戦を行う際、作戦に参加する兵士の親たちから事前に同意書を受け取っていたことが分かった。指揮官はまず30人の兵士を選抜し、その親たちに作戦内容とその同意を求める内容が書かれた文書を発送した。ところが3人の兵士の親が同意しないとの回答を送り返したため、指揮官は新たに3人を選抜し、再びその親から同意を取り付けていたという。この部隊は昨年も同じようなことを行ったが、5人の兵士の親から同意を得られなかったため、後に改めて5人を選抜していたという。
軍隊が存在する目的は戦争に備えるためだ。兵士は常に命令に従わねばならず、そのため時には死を覚悟すべき時もある。これは軍隊と兵士の宿命だ。この大前提が守られなければ、軍服を着用して銃を所持していたとしても彼らは兵士ではなく、また軍隊でもない。そう考えると上記の工兵部隊の指揮官は命令を下すことを放棄したことになり、もし戦争が起こればこの部隊は戦闘に入る以前に崩壊していたはずだ。ところが韓国軍はこの指揮官を処分する考えはないという。だとすればこのような甘い考え方はこの工兵部隊だけではなく、もしかすると韓国軍全体に広がっているのかもしれない。
児童生徒、あるいは学生の親は韓国で「学父母」と呼ばれるが、兵士の親を意味する「軍父母」という言葉はあり得ないものだ。軍の作戦が兵士の親たちの意見に影響されるようなことがあってはならないからだ。ところがこの程度の常識が韓国軍ではかなり以前から通用しなくなっている。兵士が親に軍の内情を告げ口し、親が上官に電話をかけて抗議するといった話も今では全く珍しくもないという。今回、問題の指揮官が親たちから同意書を受け取ったことも、万一事故が発生したときに責任を回避することが目的だったのだろう。兵士にけがをさせてはならないため、実戦に近い訓練もできないのが実情ということだ。表には表れないが、このような緩み切った部隊は他にもいくらでもあるはずだ。
韓国軍は周囲を敵に囲まれているが、同じような立場に置かれたイスラエル軍とはあまりに違う。国を守る大切な仕事は米軍に任せっきりで、軍は単に「兵役終了」の証明をもらうためだけに行くようなものだ。もしこの国を守るのがわれわれだけになった場合、同じような態度でいられるだろうか。ただ今回、息子が危険な任務に参加することに同意した親たちもたくさんいたため、韓国軍にもまだ希望があると言えるだろう。