米英仏がシリア非難決議案 「サリン」調査求める
【ニューヨーク國枝すみれ、ブリュッセル八田浩輔】シリア北部イドリブ県で行われた化学兵器を使用したとみられる空爆に関し、国連安全保障理事会は5日午前(日本時間同日深夜)から緊急会合を開催した。猛毒のサリンが使われた可能性があり、常任理事国の米英仏は、化学兵器使用を非難し、アサド政権に調査受け入れを求める決議案の採択を目指す。
アサド政権は空爆への関与を否定しているが、決議案では国連専門家のシリア空軍基地への立ち入りや、航空日誌やパイロットの隊員名簿の提出を求めている。化学兵器禁止機関(OPCW)も4日、情報収集を開始したと明らかにした。
緊急会合でロシア代表は空爆を巡る動きについて「シリア政府に敵対するものだ」と主張、シリア代表も関与を否定した。これに先立ち、露外務省は、アサド政権の非難決議案に拒否権を行使する方針を明示した。
米国のヘイリー国連大使は、空爆は「アサド政権が自国民に化学兵器を使用した」と明言。ライクロフト英国連大使はロシアを「かばいようがない者(アサド政権)をかばおうとしている」と批判した。
現地からの情報などでは空爆で子供25人を含む83人が死亡し、350人が負傷。シリア内戦で最悪級の化学兵器被害の可能性がある。ロイター通信によると、米政府当局者は攻撃で猛毒の神経ガス・サリンが使われたとの見解だ。トランプ米大統領は4日の声明で「アサド政権による極悪な振る舞いだ」と述べ、シリア政府軍による攻撃だと断定。ティラーソン国務長官も声明で「ロシアとイランを含め、彼を擁護し支援してきた者は、アサドや彼の意図に関する幻想を捨てるべきだ」と、名指しでの批判に踏み切った。