IT(情報技術)サービスのオルソ(東京・千代田、坂本義親社長)は、小型無人機(ドローン)の操縦技術を身につけられるスマートフォン(スマホ)向けのアプリを開発した。アプリと専用の小型ドローンを連携させ、実際に飛ばしながら空中停止や上下左右への移動の方法をゲーム感覚で初歩から学べる。今後の市場の伸びをにらみ、不足する操縦士の育成関連事業を拡大したい考えだ。
オルソはドローン操縦の基礎を習得できるアプリ「ドローンスター」の配信と、手のひらに収まる18グラムの小型ドローン「ドローンスター01」の販売を17日に始める。機体に付属する操縦機にスマホを取り付け、2本のスティックでドローンを操縦する。
スマホのカメラで飛ぶドローンを画像認識し、アプリと連携させる。屋内で半径1.5メートルの空間があれば使える。機体のプロペラにはカバーが付いており、非常に軽量のためぶつかったり落ちたりしても危険が少ない。
アプリのメニューは4つ。画面上に表示される枠内を飛ばし続ける「ホバリングチャレンジ」では、ドローン操縦の基礎である空中停止の方法を学べる。機体は小型で軽量のため安定しづらく、枠内にとどめるには上手に操縦機を使う技術が必要になる。飛ばすごとに点数が表示される。上達の度合い応じて難易度を選択できる。難易度が高いと枠が狭くなる。
画面左から飛んでくるアイスクリームの絵をよける「ソフトクリームパニック」では、機体を上下左右に巧みに飛ばす技術が必要だ。ゲーム感覚で楽しみながら操縦技術が身につく。
アプリは無料で、iPhone(アイフォーン)やアンドロイド端末で利用できる。機体と操縦機はセットで1万5000円。開設した専用ウェブサイトで5日から予約を受け付ける。同社は今年度に10万人の利用を見込んでいる。
オルソは2005年に設立され、ゲームなど携帯関連コンテンツの企画・制作や運営などを主力事業としてきた。14年からはドローン操縦士の育成に向けて講習会などを開いてきた。昨年12月からは中国DJIと組み、ドローン事業者とサービスの利用希望者を仲介する事業も始めた。
同社はこのほど開発したアプリを、ドローン操縦士の増加につなげたい考えだ。坂本社長は「多くの人が楽しみながらドローンに触れる機会を増やすことで、活用への理解にもつながる」と強調する。
ドローンは物流やインフラ点検など産業用途を中心に安定した成長が見込める。富士経済によると、ドローンの世界市場規模は2015年の400億円から、20年に4倍の1600億円まで拡大する見込みだ。ただ、20年には国内だけで14万人の操縦士が必要になるとの試算もある。同社は今回のアプリ提供で操縦しの育成関連事業の幅を広げ、市場拡大を後押ししていく方針だ。
(企業報道部 池下祐磨)
[日経産業新聞 2017年4月5日付]