(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年4月1/2日付)
中国の習近平国家主席(2017年1月17日撮影)とドナルド・トランプ米大統領(同3月24日撮影)。(c)AFP/FABRICE COFFRINI/MANDEL NGAN〔AFPBB News〕
中国の習近平国家主席が当惑を覚えているとしてもやむをえない。ドナルド・トランプ米大統領は選挙期間中に、中国が「我が国をレイプしている」と批判していた。そして4月6~7日には、習氏が「冬のホワイトハウス」と呼ばれるリゾート施設マール・ア・ラーゴでトランプ大統領にもてなされる。
トランプ氏は3月30日に、会談は「非常に難しいものになる」とツイートしたが、米政権内には混乱がある。トランプ氏が医療制度改革で思い知らされたように、選挙遊説のレトリックと現実とのギャップはとてつもなく大きい。米中貿易については特にそうだ。
中国側は、自分の考えがきちんと分かっている。習氏の主な目標は、貿易戦争を回避することだ。一方、ホワイトハウスでは保護主義者と自由貿易主義者の内紛が続き、トランプ氏の考えはまだ固まっていない。
首脳会談に向けた米国側の準備を率いてきたのは、中国関係の経歴がほとんどないトランプ氏の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏だ。対する中国側の担当者は崔天凱駐米大使だ。これだけでも中国側は優位に立つ。何しろ崔氏は米国を熟知しているプロの外交官だ。米国の首都ワシントンで大学院に通い、国連で通訳として働いた。クシュナー氏が持つ最大の資格は、大統領の娘と結婚していることだ。
崔氏の仕事はただ1つ、米中関係のみだ。クシュナー氏にはさまざまな職務があり、ホワイトハウスで中東和平、刑事司法改革、米国の企業イノベーションの連絡係も務めている。
中国は、トランプ氏に影響を与える最も効果的な方法は同氏の家族を介すことだということを理解したようだ。中国の外交官らはクシュナー氏とイバンカ・トランプ氏に取り入ることに尽力し、2月に在米中国大使館で開かれた旧正月(春節)のレセプションに2人を主賓として招いている。中国はトランプ氏のビジネスにも好意的な目を向けてきた。