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朝日新聞の「金正雲氏と正男氏同席」2009年スクープに矛盾 2月15日付では「面識なかった」と報道 広報は「信頼する相手からの情報」
■正誤に言及せず
09年6月18日付の峯村記者の記事と相反する事実を伝えた今年2月の朝日報道は、09年6月当時もソウル駐在だった牧野愛博記者によるソウル発の署名記事だ。
兄弟間の面識をめぐっては、当の正男氏自身が「平壌では住んでいる場所が違ったので、弟とは全く面識がない」(11年1月の東京新聞の五味洋治氏とのインタビュー)と説明している。韓国の情報機関によれば、正男氏は12年4月に正恩氏に送った手紙に「私たちは一度も顔を合わせたことのない兄弟だ」と記しており、産経新聞社は2月、これを報じた。事件後、韓国や欧米のメディアも2人に面識はなかったとの情報を伝えている。
牧野記者も横並びに伝えたが、朝日は強い自信を見せていた特ダネをさりげなく訂正したのか。09年6月18日の記事が誤報なら、その2日前の「世界的スクープ」(当時の船橋洋一・朝日新聞社主筆)の第1報の信憑性も改めて問われることになる。
産経新聞社は今月21日、少なくとも正恩氏と正男氏との面識の有無について矛盾する2つの記事について、どちらが正しいか朝日新聞社広報部に問い合わせた。
同広報部は24日、「2つの記事は、それぞれの記者が信頼する取材相手からの情報に基づいて執筆いたしました」とファクスで返答した。しかし、記事の正誤について言及しなかった。