アルツハイマー病の原因となる老廃物の脳内蓄積を抑え、認知機能を回復させる物質をマウスの実験で明らかにしたと、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)や京都大などのチームが4日付の英専門誌電子版に発表した。
新たな治療薬となる可能性があり、人での有効性や安全性を確かめるため2017年度中に治験を始め、25年ごろをめどに臨床応用を目指す。
アルツハイマー病はアミロイドベータという老廃物タンパク質が脳に蓄積し、神経細胞を死滅させるのが原因とされる。
チームは、植物から抽出される「タキシフォリン」にアミロイドベータの凝集を抑制する作用があることに注目。
アルツハイマー病のマウスにタキシフォリンを投与したところ、脳内のアミロイドベータの蓄積量は、投与しないマウスに比べて4分の1程度に減少し、脳血流量の測定や、記憶力を測るテストでは、正常なマウスと同等の結果となった。
同研究センターの斉藤聡医師(神経内科)は「他の薬との併用効果も検証したい」と話した。〔共同〕