呼称継続 待遇皇太子さま並み 政府方針
天皇陛下の退位後に新天皇となる皇太子さまの弟の秋篠宮さまについて、政府は「皇太子」など新たな称号の付与を見送る方針を固めた。呼称は「秋篠宮」のままとし、皇位継承順位1位の皇族として秋篠宮家の予算や補佐機関などの待遇を現在の皇太子さま並みに拡充する。5月の大型連休明けに国会に提出する退位を実現する関連法案に盛り込む。
皇室典範は皇太子について、「皇嗣(こうし)たる皇子(おうじ)」と定めている。「皇嗣」は皇位継承順位1位の者、「皇子」は天皇の子を指しており、新天皇の弟となる秋篠宮さまは皇太子にはなれない。現在の皇太子さまの公務を担う皇族が不在になる恐れがあり、秋篠宮さまの処遇が課題となっていた。
有識者会議では専門家から、典範の解釈変更などで秋篠宮さまを「皇太子」とみなしたり、典範改正により「皇太弟(こうたいてい)」の称号を新設する案が挙がっていた。しかし、秋篠宮さまに新たな称号を付与するには、保守派に配慮して政府が慎重な姿勢を取ってきた典範本則の改正が必要となる可能性がある。典範の父から子、孫への皇位継承を原則とする「直系主義」との関係も問題になる。このため、経済的待遇や組織拡充など皇室経済法の必要最小限の改正で対応する。
ただし、秋篠宮さまには皇位継承順位1位としての公務が期待される。英語表記は皇太子を意味する「Crown Prince」とすることで、海外からは皇太子と同格の処遇を得られるようにする。
皇太子並みの待遇とするのは、陛下の孫世代の唯一の皇位継承資格者である悠仁さまが秋篠宮さまの長男であることも踏まえた対応だ。皇后と皇太子家は天皇と生計を共にする内廷皇族とされるが、現行制度では秋篠宮家はその他の皇族とされる。秋篠宮家を残したまま、公務の増加などに対応できるようにする。【田中裕之】