安倍宏行(Japan In-depth編集長)
「森友学園問題」で連日にぎわっている国会だが、正直、国民の多くは興味を失っている。というか、野党の攻撃にうんざりしているというのが正直なところだろう。わが社の学生インターンまでこの国会の体たらくに怒りを隠さない。いわく、「いつまでこんなことを続けているのか?」。
民進党の辻元清美元国土交通副大臣に「ブーメラン」が飛んだ。もともとは安倍晋三首相が3月28日の参議院決算委員会で、籠池泰典前理事長が安倍昭恵首相夫人から100万円の寄付を受け取ったと証言したことについて問われ、寄付を否定した上で、籠池氏が証明するべきだとの立場を示したことに端を発している。安倍首相はその時こう答弁した。
「たった2人きりで渡した、渡さないとなれば、こちらは渡していないということについては、証明しようがないのは常識。いわば『悪魔の証明』といわれている」
(斎藤良雄撮影)
その後、安倍首相は、森友学園が運営する幼稚園への「侵入疑惑」などを否定する民進党の辻元議員について「御党の辻元議員との間にも同じことが起こっている。辻元議員は、メールの中で書かれていたことが、きょう産経新聞に『3つの疑惑』と出ていましたね。これ、一緒にするなとおっしゃっていますが、そんなことがなかったと辻元議員は真っ向から否定しているわけです。これも証明しなければいけないことになるわけです」と述べた。
安倍首相はこの「悪魔の証明」というレトリックが好きなようだ。2016年2月3日の衆議院予算委員会の場で、甘利明前経済再生相の現金授受問題に関し、TPPなどの政策が政治献金で左右されていたのではないかとの可能性を指摘した民主党の岡田克也代表(当時)と以下のやりとりがあった。
岡田「首相が本会議場で安倍内閣の政策が、政治献金で影響を受けることはないと断言されたから言っている。断言された以上は、その根拠を示さなければならないのはあなたではないか」
安倍「ないことをない、と証明するのは『悪魔の証明』だ。あるんだ、と言うんだったら、あるということを主張している側に立証責任がある。当たり前じゃないですか。私はないものについてはないと言う以外はないじゃないですか」