世界の樹木は6万種以上=植物保護団体
マーク・キンバー環境担当記者
世界で存在が確認されている樹木は、6万65種類に上ることが分かった。ロンドンに拠点を置く植物園自然保護国際機構(BGCI)が加盟500団体が持つデータを集計した。
BGCIは樹木の種類リストを、絶滅を防ぐには即時対応が必要な希少種類の特定に役立てようとしている。
研究の結果は、森林学誌「ジャーナル・オブ・サステナブル・フォレストリー」に掲載された。
集計データによると、ブラジルの樹木の種類は8715種あり、世界で最も多様だと分かった。
樹木の植生がない北極・南極地域を除くと、北米の北極付近が最も種類が少なく、1400種以下だった。
また、樹木の種類の半数以上(58%)が、ひとつの国にしか生息していないことが分かった。生息地が限定されるこうした種類は、極端な天候や人間活動による森林破壊で絶滅してしまう危険が示唆されている。
野生の個体数が50を切った300の樹木種は、絶滅危惧種に分類された。
「特別な立場」
BGCIのポール・スミス事務局長は、各団体のデータがデジタル化される前は、世界に存在する樹木種数の推計は困難だったと語った。
スミス氏はBBCニュースの取材に対し、「BGCIに加盟する植物園や研究団体が500に上るため、我々はほかにはない特別な立場にある」と述べた。「データの多くは公にされていない。こうしたデータのデジタル化は、実質的に何世紀にも及ぶ取り組みの集大成だ」。
スミス氏によると、樹木種が植生する地域が特定されていることは、今回の研究の重要な側面だという。
「どの国でどのような樹木が植生しているかを示す位置情報は、保護活動で重要な情報だ。どの樹木が保護の取り組みを必要としていて、どの樹木について我々が植生状況を確認する評価をすべきなのかが分かる」
絶滅の危機
BGCIは、過剰伐採のせいで絶滅の危機にある樹木を見つけた。
シソ科の「カロミア・ギガス」はタンザニアの奥地で見つかる木だが、昨年末に研究者のチームが残り6本になった植生を発見。木を保護し、種を付けた時には知らせてもらうため地元住民の助けを募った。
研究者らは、カロミア・ギガスの種をタンザニア各地の植物園で繁殖してもらい、将来は野生に戻すことを計画している。
BGCIは今回のデータ集計を基に樹木種のデータベース「グローバル・ツリー・サーチ」を作成した。毎年約2000種の新種が登録されているなかで、樹木種の数は変動するだろうと予想している。BGCIは新種発見のその都度、データベースを更新する方針という。