男性カップルを大阪市が全国初認定
虐待などにより親元で育てられない子供の養育里親について、大阪市が男性カップルを認定したことが5日、市への取材で分かった。厚生労働省は同性カップルの里親認定について「聞いたことがない」としており、全国初とみられる。
大阪市によると、昨年12月、市内在住の30代と40代の男性を養育里親と認定した。市は、養育する子供については詳細を明らかにしていない。
厚労省は里親委託に関するガイドラインを2011年に策定した。ガイドラインに基づき、各自治体で里親の認定について運用が進められている。
自治体によっては、同性カップルを異性間の結婚に相当する関係と認める動きもあるが、里親については夫婦らを前提とし、性的マイノリティー(LGBT)の認定には消極的な意見もある。
しかし、厚労省ガイドラインでは里親希望者の要件について、同性カップルかどうかは定めておらず、同省家庭福祉課は「ガイドライン上、同性カップルでも里親を希望することは可能」とする。実際に認定されたケースは把握していないという。
同省によると、国内では現在、約4万5000人の子供が社会的養護のもとで生活している。大半は児童養護施設などで暮らし、里親に預けられているのは1割強にあたる約5000人にとどまっている。同性カップルの里親を望む声は以前から一部であった。
大阪市では、里親希望者はこども相談センター(児童相談所)に申し込み、面接や制度の仕組み、心構えなどを理解する1週間程度の研修などを受ける。その後、有識者らの社会福祉審議会に諮問し、最終的には市長が認定する。里親には養育里親に加え、養子里親や親族里親、専門知識を生かして養育する専門里親がある。認定を受けた里親は、子供とのマッチングを行うことになる。今年1月現在、大阪市で登録されている里親は119世帯。【岡崎大輔、井川加菜美、畠山哲郎】