下半身痩せに! 股関節ストレッチが効く理由と5つの方法
下半身痩せには断然「股関節ストレッチ」がオススメ
ヨガやピラティスが定番化したからか、みなさんのカラダへの意識が高くなったのか、股関節の柔軟性が求められる昨今ですが、「なぜ?」と疑問に思ったこと、ありませんか? しかも股関節ってどこ? なんて今更聞けない、という人もいるかもしれません。そこで、「股関節ストレッチの効果、効果的なやり方」「股関節と下半身痩せの関係」「股関節が硬いとなぜいけない?」などの理由や解決方法を紹介します。
図で見る! 股関節と骨盤の深い関係
股関節を説明する前に、股関節と骨盤との深いつながりから見てみましょう。
骨盤は、背骨を支える土台であり、大きく分けて左右に広がる寛骨、仙骨、尾骨の4つの骨が関節でつながり構成されています。そして、これらの様々なパーツは仙骨と腸骨をつなぐ「仙腸関節」。左右の恥骨をつなぐ「恥骨結合」。腸骨と大腿骨をつなぐ「股関節」等で結合しています。つまり、股関節は上半身と下半身を結ぶ関節であり、下半身の始まりとも言えるのです。
骨盤は体の中心であり、1番大きな骨です。この骨盤も毎日微妙に開いたり、閉じたりしています。その関節の可動域を狭めてしまう主な原因は、硬くなってしまった筋肉。
つまり、関節の動きが悪い=関節周辺の筋肉のコリなどにより、血流やリンパの流れが悪くなり、冷えやむくみなどが生じるということです。
股関節が硬くなるから骨盤に影響を与えるのか、もしくはその反対か、いずれにしろ骨盤と股関節の関係は深いのです。
硬いと太る? 股関節の動きを知りましょう
股関節は、大腿骨(だいたいこつ)の上端にある骨頭(こっとう)と呼ばれる球状の部分が、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるソケットにはまり込むような形になっています。正常な股関節で、寛骨臼が骨頭の約4/5を包み込んでおり、関節を安定させています。しかしながら、人の骨格は人それぞれ。大腿骨が骨盤へ浅くはまっていたり、内側に向き過ぎていたり、外側に向き過ぎたりと、大人になればなるほど、本来の形に収まっている人は少ないと言われています。
この股関節の動きを安定させるのが、骨盤周辺の臀部の筋肉や骨盤底筋群、体幹などの深層筋。しなやかな動きは、硬すぎず、柔らかすぎない弾力のある筋肉によって生み出されます。
この筋肉と協力しあいながら、股関節は様々な動きを可能にします。
例えば、両足を揃えて立ってみてください。足を前に伸ばす、後ろに伸ばす、横に広げる、内側に伸ばす、脚の付け根から内側にねじる、外側にねじる……すべてが股関節と筋肉によって可能になっていることが分かるはずです。
開脚や柔軟だけではない、股関節を柔らかくする意味は?
今までの説明からも、股関節と骨盤のつながりや、股関節と大腿骨のつながりなど、体はすべてつながっているコトを意識するのは大切です。ジムのトレーナーなどから「股関節が硬いですね」と言われたら、股関節だけにフォーカスするのではなく、腰や臀部、太もも裏、脚裏などをストレッチなどでほぐしてみること。
それと同時に、関節を守るためには、トレーニングによって筋力をつけることも必要になります。筋肉を作るには3週間ほどかかるので、ストレッチを日々続けることで、3週間から4週間ほどで骨盤の柔軟性を高める計画を立てましょう。
そもそも、「なぜ股関節の柔軟性が必要とされるか」と言えば、怪我の防止です。
骨盤は、上には腰の腰椎(ようつい)とつながり、下には大腿骨とつながる股関節がついています。ですから、股関節の動きが制限されてしまうと、別の部位でカバーしようとして、腰や膝などに負担が来てしまい、腰痛などの原因になることもあります。
股関節の可動域を利用してねじりが深まるはずのねじりのポーズや、ゴルフやテニスなどをした場合も、股関節の動きが制限されていると、膝や腰に大きな負担を掛けて、腰や臀部を痛めてしまうことになります。
続けて、痩せた? と言われる「股関節ストレッチ」を5つ紹介するので、その効果的なやり方を実践していきましょう。
「股関節ストレッチ」の効果的なやり方
まずは、股関節が硬くなることで起きる症状を復習しましょう。・歩く姿勢が悪くなる
・膝が伸びなくなり、猫背姿勢になりやすい
・腰痛
・冷えやむくみ
・太りやすくなる
・ぽっこりお腹になりやすい
・生理不順や生理痛
・便秘
これらを予防し、改善するため、また、股関節の柔軟性を養うために、ほぐしておきたい部位とストレッチ方法を紹介します。
1.外旋筋群をほぐすストレッチ
●外旋筋群とは?骨盤と大腿骨をつなぐインナーマッスルです。群という言葉がついている通り、6つの筋肉で構成されています。ちなみに、6種類の筋肉は、梨状筋・上双子筋・下双子筋・外閉鎖筋・内閉鎖筋・大腿方形筋です。
●外旋筋群の役割は?
股関節を外旋させる働きや、脚が地面に着いたときに衝撃を吸収します。外旋筋群は骨盤を外側から支えることで、骨盤の位置を正しく保つ役目も果たしています。
【動作1】
床に仰向けになり、かかとをお尻の近くに引き寄せます。足首を掴める人は掴みましょう。この時お尻や腰が浮きすぎないように注意。
【動作2】
ゆっくりと息を吐きながら右膝を内側に倒します。この時もお尻が浮いたりしないように注意しましょう。
【動作3】
ゆっくりと息を吸いながら元の位置に戻り、息を吐きながら左膝を内側に倒します。2と3の動作を左右8回を目安に繰り返しましょう。
2.大腿二頭筋(だいたいにとうきん)をほぐすストレッチ
●大腿二頭筋(だいたいにとうきん)とは?大腿二頭筋は、太もも裏側の筋肉で、股関節から膝まで結ぶ長い筋肉です。
●大腿二頭筋(だいたいにとうきん)をほぐさないとどうなる?
座り姿勢が長い人や運動不足気味の人は、膝の裏が縮こまりやすくなり、股関節も屈曲した状態になります。そのまま何もしないと、どうなるか? それは、膝の曲がったおばあさんをイメージしてみて下さい。背中も曲がり腰も曲がり、口角もさがりほうれい線もクッキリと目立つように……! おばあさんだけではありませんよ。膝裏を伸ばす大切さ、姿勢を正す意識を今一度確認してみて下さい。
【動作1】
四つん這いの姿勢から、右足を大きく1歩前に出したら、つま先を天井方向に向け、両指先を床につけます(この時、膝が伸びない人は無理に伸ばさなくてOKです)。
【動作2】
ゆっくりと息を吐きながら、上体を倒します。この時、右かかとから右足の付け根が遠く離れるイメージで、足裏を深く伸ばします(膝を曲げた状態でもOK)。この時、つま先の向きは上に向け、つま先をすねに近づける意識でふくらはぎを深く伸ばします。そのまま30秒間キープしましょう。
3.太もも内側の内転筋をほぐすストレッチ
●内転筋とは?太もも内側の恥骨から大腿骨(股から膝の間の骨)につく筋肉です。足を内側に閉じる時に使われる筋肉。
●内転筋の役割は?
内転筋が衰えると股関節が支えきれなくなり、膝関節にも負担がかかり、結果骨盤が開き気味になります。さらに骨盤が開くと内臓も下垂しやすいので、お腹もぽっこりとせり出す羽目に。座り姿勢でも膝を閉じる、背骨を伸ばし姿勢を正すように普段からの心がけも忘れずに。
【動作1】
四つん這いの姿勢から、左足を大きく前に出し、つま先を斜め45度ほど開きます。右足は後ろに伸ばし、両手は床につけます。この時、踵の上に膝が来るように、脛は床と垂直位置に。また、左踵が床から離れないように、足の位置はきちんと確認しましょう。
【動作2】
そのまま、ゆっくり息を吐きながら両手を前に歩かせ数回呼吸を繰り返しましょう。この時、左坐骨(お尻の骨)や太もも内側の内転筋の伸びを感じましょう。
【動作3】
さらに両手を前に歩かせ、肘が床につける人はつけ、両手を組み頭を下げて、10呼吸ほど繰り返し、元の位置に戻りましょう。反対側も同様に動作しましょう。
4.大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と腸腰筋(ちょうようきん)ストレッチ
●大腿四頭筋とは?大腿四頭筋は、名前の通り4つの筋肉で構成されています。基本的に膝を伸ばす際に使われる筋肉ですが、大腿直筋(だいたいちょっきん)という筋肉だけが股関節を曲げる動き、つまり、階段を上るといった、ももあげのような動作もサポートします。
●腸腰筋とは?
さらに腰椎から大腿骨を結ぶ大腰筋(だいようきん)と腸骨筋(ちょうこつきん)から成る腸腰筋(ちょうようきん)が、運動不足や加齢、姿勢の悪さなどから退化すると、骨盤のゆがみが生じ、下半身の動きを悪くしてしまします。
それらを次のストレッチによって、太もも前側を伸ばしていきます。全身の筋肉の中で、最も強くて大きい筋肉なのでで、日頃から酷使されやすい部位です。股関節をほぐすには、この2つの部位もかなり重要なポイントになります。
【動作1】
右膝が90度になる位置に左膝を床につけます。この時お腹は腰に引き寄せ、尾てい骨を床方向に向け、骨盤を立たせます。
【動作2】
そのまま、右手は膝に置き、左手で左足を掴み、10呼吸キープしましょう。左足がつかめないという人は、タオルを足の甲にかけて調整してください。この時、身体が斜めになったり、腰が反ったり、丸まったりしないように注意しましょう。
【動作3】
さらに左手で左かかとを引き寄せ、左太もも前側を伸ばします。そのまま10呼吸キープしたら、反対側も同様に動作しましょう。
5.臀部をほぐすストレッチ
このストレッチは、お尻や股関節周辺の筋肉をほぐします。お尻は脂肪が多い部位ゆえに冷えやむくみも生じやすいので、日頃からの実践が下半身の動きをなめらかにしてくれるはずです。【動作1】
正座から右足を後ろに伸ばします。右足の付け根が後ろに行き過ぎないように右つま先は床につけましょう。少しお尻を揺すりながら、左踵の位置も真後ろ、右足の付け根、真横と一番安定するところにおきましょう。
【動作2】
そのまま、両手を前に伸ばし30秒間キープしましょう。体重が左のお尻にかかり過ぎないように、両手でサポートして下さい。
【動作3】
さらに両手を前に出し、肘を床に付け両手のひらを合わせ、あごを軽く引き、上半身の重みを使いながら左のお尻や股関節周辺、右の鼠径部太もも前側などをゆっくり伸ばしましょう。そのまま30秒間キープしたら、反対側も同様に動作しましょう。
(文:森 和世)