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真相解明できず 小池知事の政治判断へ

都議会百条委員会に出席した元知事本局長の前川燿男氏=東京都新宿区で2017年4月4日午後4時1分、長谷川直亮撮影

 東京都の豊洲市場(江東区)への移転問題に関する都議会の調査特別委員会(百条委員会)は4日、東京ガスとの用地取得交渉に関わった元都幹部3人を証人喚問した。2000~05年に副知事を務めた浜渦(はまうず)武生氏の主導とされた「水面下の交渉」などについて新たな証言は得られず、7月の都議選を控え、移転の可否は小池百合子知事の政治判断に委ねられることになった。石原慎太郎元知事ら計24人を喚問した百条委は、用地取得交渉を巡る真相を解明できないまま一区切りを迎え、都議会での追及は事実上、終了した。

 4日に証言したのは、元知事本局長の前川燿男(あきお)氏(71)=現・練馬区長▽元政策報道室理事の赤星経昭氏(71)▽元知事本部首都調査担当部長の野村寛氏(62)--の3人。

 02~05年に知事本局長を務めた前川氏は、都を退職後の05年に東ガスに再就職し、12年まで執行役員を務めた。前川氏は「石原知事が豊洲移転を決めた」と証言し、05年5月に都と東ガスが交わした土壌汚染対策の範囲を示す「確認書」については「担当部課長から『(浜渦氏に)確認したが特段の指示はなかった』と聞いたことを覚えている」と述べた。浜渦氏は3月19日の証人喚問で「私の担当は交渉の基本合意(01年7月)までで、その後(の確認書などに)は一切携わっていない」と証言しており、公明や共産など複数会派が「浜渦氏の偽証の疑いが濃厚」と指摘した。

 また、浜渦氏の指示で東ガスと交渉した赤星氏は「私は窓口の責任者。決定権者ではない」、東ガスとの費用分担交渉の端緒と疑われる01年7月の「確認書」を交わした野村氏は「確認書は基本合意までの細かい条件を記載したもの」と述べ、交渉は浜渦氏主導との認識を示した。

 百条委が他の証人を喚問する予定は現段階ではなく、小池知事は百条委の議論を踏まえて移転の可否判断を迫られる。外部有識者の「専門家会議」は国の環境基準値の100倍のベンゼンが検出された豊洲市場の地下水再調査の結果を「安全」とする見解を示しており、自民は7月の都議選を視野に「豊洲移転の実現」を公約に盛り込む方針を打ち出すなど、小池知事に揺さぶりをかけている。

 また、都の「市場問題プロジェクトチーム」も築地市場(中央区)の改修費用を最大800億円と試算するなど、移転の可否の判断材料はそろいつつあり、都議選前後までの結論の先送りは困難な状況に追い込まれている。【芳賀竜也】

豊洲百条委の発言骨子

▽前川燿男・元知事本局長

浜渦氏が市場についての最高決定権者。(東ガスの責任を限定した)05年の確認書は、浜渦氏に上げたと部下に確認した

▽赤星経昭・元政策報道室理事

(水面下の交渉は)合意に至るまでは個別具体的に話を詰める。会議方式でオープンにした形ではない、という趣旨

▽野村寛・元知事本部首都調査担当部長

知事本部は事務調整の窓口で、具体的な交渉は所管局がしていた。詳細は承知していない

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