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 戦前・戦中に道徳や教育の基本方針とされた「教育勅語(ちょくご)」を教材で使うことを認めた政府答弁書の閣議決定について、安倍内閣が詳しい説明を避けている。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題を追及されるなか、教育勅語が注目されるきっかけをつくった稲田朋美防衛相も口を閉ざした。

 3日の衆院決算行政監視委員会。共産党の宮本徹氏は、「教育勅語の中で憲法に反しない部分は1カ所でもあるのか」と政府の見解を問うた。先月31日に安倍内閣が閣議決定した政府答弁書は、過去に国会が排除・失効の確認を決議した教育勅語を「憲法や教育基本法等に反しないような形」で教材として使うことを認めたからだ。

 使用を認めるのであれば、政府として具体的な判断基準を示す必要があるが、松野博一文部科学相は「(教育勅語の)どの部分が憲法に反する、反しないに関しての判断を文部科学省でするものではない」と解釈を避けた。そのうえで「教え方がポイントだ。我が国の歴史について理解を深める観点から教材として用いることは問題がない」と説明した。

 菅義偉官房長官も3日の記者会見で、教育勅語の本質や戦争中に教育勅語が果たした役割を問われたが、「法制上の効力は喪失している」と繰り返し、教材として教育現場で使うことは問題ないとの立場を強調。「教育勅語を我が国の教育の唯一の根本となるような指導を行うことは不適切だ」とする一方で、親孝行や夫婦仲良くといった徳目は評価する見方を示した。

 政権を支持する保守層には、教育勅語を評価する声が少なくない。記者たちから「教育勅語の内容を評価すると、戦前の否定をあいまいにすることになるのではないか」と問われると、「あいまいにしていないじゃないですか。法制上の効力は完全に消滅している」と、声を荒らげた。

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