電子楽器メーカーのローランド(浜松市)の創業者でグラミー賞を受賞した梯郁太郎(かけはし・いくたろう)氏が1日、87歳で死去したことが分かった。梯氏が会長を務めるATV(浜松市)は、家族葬ののちにコメントを発表するとしている。
梯氏は1972年にローランドを設立。電子ピアノやドラム、ギター・シンセサイザーなど世界に通用する電子楽器を数多く世界に送り出した。80年代に演奏情報を電子信号に変換して伝送するための世界共通の規格「MIDI(ミディ)」を生み出した功績が評価され、2013年に米グラミー賞のテクニカル・グラミー賞を個人としては日本人で初めて受賞した。
MIDIは「スタンダードがないと業界は発展しない」との信念のもと、無料で公開した。社内外で反対意見が多数あったが、結果として一気に世界で普及し、楽曲制作や音響、カラオケなど様々な場面で活用される「音楽の共通言語」のひとつとなった。
ヤマハの中田卓也社長は「長年にわたり電子楽器の普及に尽力され、業界の発展に大きく貢献された。心からご冥福をお祈りする」とコメントした。
(浜松支局 伊神賢人)