韓国で「体育特技生」と呼ばれるスポーツ特待生が100人以上在籍する全国の17大学に対し、教育部(省に相当)が先日監査を行ったところ、全ての大学で不正が行われていることが分かった。一般的にどの大学でも学生が通常3回以上の警告を受ければ除籍となるが、これらの大学は体育特技生にはこのルールを適用していなかった。中には偽造された診断書を提出しただけで単位を認めたケースや、兵役期間中の学生の名前で他人が代理で試験を受けるのを認めたケース、さらに病院で長期入院をしていた学生が出席したかのように書類を捏造(ねつぞう)したケースもあった。
これら17大学で過去20年にわたり不当に単位が与えられた体育特技生は322人、関与した教授は448人に上っていた。崔順実(チェ・スンシル)被告の娘チョン・ユラ氏とめいのチャン・シホ氏のような不正は、ごく一部の限られた大学だけの話ではなかったのだ。逮捕・起訴された元梨花女子大学総長の弁護士も、裁判で「なぜ梨花女子大学だけが問題になるのか」と激しく抗議した。この主張も決して間違っているわけではない。
韓国で体育特技生制度が導入されたのは1972年。オリンピックなど国際的なスポーツ大会でメダルを獲得すれば、これが国威発揚につながると考えられていた時代だ。この制度の導入をきっかけにスポーツ選手たちは幼い時から勉強とは全く関係のない生活を送るようになったため、今も体育特技生たちはほとんどが大学に入るのに必要な学力はない。しかも彼らを大学に入学させるための入試での不正行為も深刻だ。