【聴いてみた】SHUREイヤホン全機種聴き比べしてみた
どうもWEBチームのリョウです。
ブログへのリクエストボックスを設置したところ短時間で結構な数のリクエストを頂きまして、「わりとたくさんの人が見てくれてるんだなぁ」とモチベーションがあがる一方で、「果たしてこのリクエストに応えきれるのか!?」と早速不安になっております。とくに『メーカーの全機種比較』とかは記事のボリュームが凄いことになってしまうので、一週間に一本ぐらいのペースでやっていけたらいいな、と思っていますので宜しくお願いします。
昨日、頂いたリクエストの中から4つほどテーマをピックアップしてTwitterにてアンケートをとってみたところ、なんと800票近い投票をしていただけました。ご協力いただいた方々、どうもありがとうございました。
そして気になる結果はというと…。
【アンケート】ブログで比較記事を書くとしたらこの中からどの記事が見てみたいですか?
— Ryo@eイヤホン秋葉原 (@eear_Ryo) 2017年4月2日
最終投票数『783票』
そのうち
『51%がSHURE』
という驚きのSHURE率になりました。すごーい!
SHUREといえば1万円台でリケーブルできるイヤホンの王道中の王道としてSE215SPE-Aが大人気で、下の画像のとおりe☆イヤホンのWEB本店においても最もレビュー数の多い商品です。
一方でSE315やSE425やそれ以上の上位機種などになると、SE215に比べ値段が上がるのはもちろんですが、同価格帯での選択肢も増えてくるためSE215ほどレビューが多くないという一面があります。
というわけで今回、あらためてSHUREのイヤホンの音をおさらいしようじゃないかということで!
では早速始めていきましょう。
Campfire Audio聴き比べ時同様、試聴に使うDAPはGRANBEAT、アップサンプリングは192kHz、イコライザーはオフです、Gainはnormalで聴いてみます。
SE112
スペック
ドライバー構成 | ダイナミックドライバー×1 |
入力感度 | 105dB SPL/mW |
インピーダンス | 16Ω (at 1kHz) |
周波数特性 | 10Hz – 17kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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SHUREの現行イヤホンの中では最も安価な、真の意味でSHUREのエントリーモデルにあたる機種になります。
音の傾向は一言で言うなら『低音寄り』。しかしぼわっとした曇るような低音ではなく、わりと輪郭のはっきりした低音がドシドシとアタックしてくる印象です。このときは『隅田川夏恋歌』という曲を聴いたのですが、音の余韻もなかなか優秀で、曲中で鳴る花火の打ち上げ音を遠くまで広がって消えるところまで再現してくれます。
一方、中高音域のクリア感、全体的な解像感や繊細さは低めかと思います。曲の相性の良し悪しを考えるなら男性ボーカルのロックなどが良いように感じました。
発売から3年近く経っているということもあり、近頃はSORAなどのイヤホンが5000円未満で手に入ることを考えると、発売当初ほどの高コスパイヤホンとはいえないかもしれません。
SE215
スペック
ドライバー構成 | ダイナミックドライバー×1 |
入力感度 | 107dB SPL/mW |
インピーダンス | 17Ω (at 1kHz) |
周波数特性 | 22Hz – 17.5kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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言わずと知れた大人気モデル、SE215の通常モデルです。あまりにも有名な機種なのでもはや改めてレビューするまでも…と言わずにまじめにやっていきます。
ドライバー構成はSE112と同様ダイナミック1基で、音の傾向的には低音寄りの弱ドンシャリ。再生周波数帯域はSE112とほとんど変わりません。しかし実際に聞いてみると、SE112の低音の力強さを忠実に引継ぎ、やや中高音域の見通しのよさが向上しているように感じられます。粒立ちの細かさや繊細さなどに大きな変化は感じられませんが、SE112よりも曇りが少なくなったというイメージです。
質感としてはウェット目な感じで、量感を感じられます。サラっとしたドライ目な音が好きな人には少し合わないかもしれません。相性のいい曲はSE112と変わって女性ボーカルのロックなどでしょうか。
有名な話ですが、このSE215は実は上位モデルにあたるSE315や425などとケーブルが同じなのです。上位モデルと同等のケーブルを採用し、なおかつ断線時の交換や、それによるグレードアップも可能。2011年の発売から6年の月日が経ってなお、高コスパイヤホンと呼ばれるのにも納得のいくイヤホンです。
SE215SPE-A
スペック
ドライバー構成 | ダイナミックドライバー×1 |
入力感度 | 107dB SPL/mW |
インピーダンス | 17Ω (at 1kHz) |
周波数特性 | 22Hz – 17.5kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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普通のSE215の特徴や感想については上で記載しているので、通常モデルとの違いを簡単に述べさせていただきます。
聴いてみると、中低音の押し出しが通常モデルより少し強くなり、さらに高音のきらきらとした感じも増したように感じます。解像感の高さや細やかさの劇的な向上というわけではなく、ちょっとした篭り具合などが軽減され、見晴らしが良くなったという印象です。聴き比べるとわかるりますが、篭りが晴れたことで通常モデルよりも音場が広くなったようにも思えます。
再生周波数帯域こそ変わりませんが、高音は通常モデルよりも高いところがきれいに聴こえるように感じます。全体的なバランスはやはり低音寄りではあるものの、高音もきれいに鳴らすチューニングに仕上がっています。
通常モデル同様リリースから月日が経っているものの、ポータブルオーディオの世界への入り口として十分すぎるほどのポテンシャルを感じるイヤホンです。
SE315
スペック
ドライバー構成 | BAドライバー×1 |
入力感度 | 116dBSPL/mW |
インピーダンス | 27Ω (at 1kHz) |
周波数特性 | 22Hz – 18.5kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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価格からしてみるとSE215の上位モデル…という風に思われがちですが、実際には少し違います。先に紹介した3機種がダイナミックドライバー1基搭載なのに対し、このSE315はBAドライバー1基搭載という構成になっているため、全く別の機種というべきでしょう。
音の傾向はというと、中音域にフォーカスが当てられたような音に仕上げられています。いわゆるかまぼこ型、というやつですね。SE215にはまったので、価格帯的に上の機種にも興味が出た!という気持ちで手にすると、音の傾向の違いに驚くのではないでしょうか。
BA型というと、一般的にはダイナミックドライバーに比べ迫力に欠けるが、解像感や繊細さに長けるというイメージが強いと思います。しかし、このSE315は解像感はあまり高くなく、中音域の量感のある音になっています。とくにボーカルはわりと近くから聴こえるような気がします。音場は狭めですが、声を聴き取ることに長けた機種なので、リスニングというよりかはモニター向けの機種なんじゃないかと感じました。
曲全体よりもボーカルに重きを置いて楽しみたい人や、モニターしたい人にオススメです。
SE425
スペック
ドライバー構成 | BAドライバー×2 |
入力感度 | 109dBSPL/mW |
インピーダンス | 37Ω (at 1kHz) |
周波数特性 | 20Hz – 19kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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BAドライバーを2基搭載した、SE315の上位に当たるモデルです。
SE315と比較したときの主な違いとしては、全体的な解像感の向上という感じですね。なおかつ、ドライバーが2基搭載になったことにより、中音域を中心としたチューニングはそのままに、低音と高音の音の厚みが増しています。中音寄りのフラットという感じで、そこそこの迫力はあるもののやはりモニター向けという印象です。
長時間の使用を想定したつくりなのか、全体的な味付けは少なめで非常にすっきりとした音作りになっています。SE215のようなリスニング向けのチューニングを好む人には物足りないかもしれませんが、イコライザーをガンガンかけるタイプの人であれば、きっと自分の好みの音を見つけ出せると思います。
曲のジャンルで言えば女性ボーカルによるロックなど。あるいは僕が聴いた中ではブルームフュージョンなんかが相性がいいと感じました。ピアノや電子オルガンの音はなかなか聴き応えがあります。
SE535
スペック
ドライバー構成 | BAドライバー×3 |
入力感度 | 119dBSPL/mW |
インピーダンス | 36Ω (at 1kHz) |
周波数特性 | 18Hz – 19kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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低域と高域にBAドライバーを3つ搭載した、SE425と並びミドルクラスにあたる機種です。
SE425より★の数が減っているじゃないか、と思われるかもしれません。しかし比べて聴いてみると、ドライバー数の増加の恩恵かわかりやすく全体の解像感が向上しています。なおかつ、SE425では中域の量感とボーカルの近さに隠れがちだった高音域がはっきりと主張してきます。金属の響く音は非常に引き締まっていて心地よく、それでいて耳に刺さらない柔らかさをもっています。ピアノやヴァイオリンなどが奏でる高音のメロディは非常に繊細で、低音はその繊細さをかき消さないようにタイトにリズムを刻みます。
SE425を中音域を中心にしたモニター向けイヤホンとするならば、SE535は中音域を抑え目に全体のバランスと解像感を向上させたリスニング向けイヤホンといえると思います。SE425とSE535は上下の優劣ではなく、横並びに好みの差であるといわれますが、僕はSE535のほうが好みでした。
5万円台で何でもそつなく聴ける万能機をお探しの方に選択肢に入れていただきたいです。
SE535LTD-J
スペック
ドライバー構成 | BAドライバー×3 |
入力感度 | 119dBSPL/mW |
インピーダンス | 36Ω (at 1kHz) |
周波数特性 | 18Hz – 19kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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SE535に日本人向けに特別なチューニングを加えた限定モデルです。SE215SPE-A同様、通常モデルとの違いだけ簡単に書かせていただきます。
★の数を見ていただければわかるとおり、高音と低音にチューニングを施され通常のSE535よりドンシャリ気味の音へ変わりました。通常モデルと比べてみると、全体的なバランス感は通常のSE535のほうが上ですが、高域のクリア感、伸びなどはSE535LT-Jのほうが上に感じられます。低音も物足りなさを覚えることはなく、高音とのバランスが非常によくとれています。
ボーカルの伸びは非常に優秀で、細かな息遣いや消え入る瞬間まではっきりと聴きとることができます。シャキシャキとした歯切れのよい乾いた感じではなく、艶感のある音は、長時間のリスニングにピッタリのチューニングです。
平井堅さんのような、高音がきれいに出せるような男性ボーカルとの相性が非常にいいように感じました。
SE846
スペック
ドライバー構成 | BAドライバー×4 |
入力感度 | 114dBSPL/mW |
インピーダンス | 9Ω (at 1kHz) |
周波数特性 | 15Hz – 20kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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BAドライバー4基を搭載したSHUREのフラッグシップ機です。正確にはこの上に『KSE1500』という機種が残っているのですが、それがイヤホン本体にコンデンサーを搭載し、アンプとセットで39万円近くするというあまりにも規格外のやつなので、実質このSE846がフラッグシップと言えるでしょう。
大きな特徴としてフィルター部分が交換可能ですが、今回はブライトのみで試聴しました。
というわけでフラッグシップのその実力ですが、上の★を見てわかるとおり、全機種のなかでも随一の優れたバランス感と解像感を備えています。ドライバー数から見ても、他メーカーの多ドラなイヤホンにくらべわずかに解像感が劣るというような感じはしますが、非常に鳴らし方が丁寧です。
中低域は輪郭のはっきりした迫力のある音を鳴らしてくれますが、面がドシドシどぶつかって来るような感じではなく、細かな音の粒に囲まれるかのようです。高音域は全体的に見ると少しだけ弱いですが、音の伸びと広がり、余韻の表現は非常にすばらしく、伸びるところは伸び、切れるところはしっかり切れます。
生楽器が奏でる音のリアリティは他の機種と比べても頭一つ抜けており、管楽器の音の厚み、ピアノの鍵盤がたたかれる音、スネアの響きなどまで、細かい音を聴き取ることができます。
ドライバー数こそ最近の多ドラ機に比べ少ないものの、それを感じさせない再生能力。是非多くの人に一度聴いていただきたいです。
KSE1500
スペック
ドライバー構成 | コンデンサー型 |
入力感度 | 113dBSPL/mW |
インピーダンス | - |
周波数特性 | 10Hz – 50kHz |
高音域 |
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中音域 |
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低音域 |
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遮音性 |
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解像感 |
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装着感 |
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さて、SE846のところで名前だけ出しましたがKSE1500、ドライバーはコンデンサー型(!?)、周波数特性は10Hz -50kHz、価格にして約39万円と何から何までイヤホンの枠組みを超えた存在です。
果たしてどんな音がするんだ…?と思いつつGRANBEATと付属アンプをMicroBケーブルで接続して聴いてみたところ…。初めて聴くような音、それが一番の感想でした。圧倒的な音のバランス感、解像感。そして音の広がり、伸び、抜け感、そのどれをとってもイヤホンの域を超えています。ヘッドホンですらこんな音を感じたことはありません。
そして極めて少ないノイズ。音の切れる瞬間は本当に静寂に包まれます。ノイズキャンセリングとかそういうレベルではありません。解像感が高いとかバランスがいいとかすばらしいところはたくさんあるのですが、僕が何より驚いたのは音の広さです。本当にイヤホンで聴いているとは思えない広がりで、「音漏れしてないよな…」と心配になるくらいです。
もはやどんな曲と相性がいいとか悪いとか語るべくもなく、究極のイヤホンシステムだと思います。
全てを超越した人に手にしていただきたいです。
というわけで本日はSHUREの現行機種9製品を試聴&レビューしてみました!
SE215は有名だけど、他の機種の事はあんまり知らなかったな…という人に魅力をお伝えできたらいいなと思います。
それではまた次の記事でお会いしましょう。
WEBチームのリョウがお送りいたしました。
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Tags: KSE1500, SE112, SE215, SE315, SE425, SE535, SE535LTD, SE846, SHURE, 聴き比べ