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【いま読む日本国憲法】

(41)第65条 行政権の主体は内閣

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 六五条から七五条までは、行政権について規定する「内閣」の章です。六五条は現行憲法で最も短く(十二字)、行政権が内閣に属することを端的に定めています。立法権が国会に属すると定めた四一条、司法権は裁判所に属するとした七六条一項と合わせて「三権分立」の根拠です。

 国会の憲法論議では、行政権の主体を「内閣」から「首相」に変えるべきかどうかが論点になってきました。内閣の決定は、閣議での全会一致が原則です。「内閣」を「首相」に置き換えることで、首相の地位や権限を強化する狙いがあります。

 自民党の改憲草案は、六五条に「この憲法に特別の定めのある場合を除き」という文言を書き加え、それ以外は、行政権が内閣に属するとしました。

 逆に言えば、「特別の定め」として草案に設けられた(1)行政各部の指揮監督・総合調整権(七二条一項)、(2)国防軍の指揮権(同三項など)、(3)衆院解散の決定権(五四条一項)−の三つは、首相一人に与えられた権限です。

 改憲による首相権限の強化は、独裁を生み出すと懸念する声もあります。現行憲法下でも、時の首相が政治的に強い権限を持つ場合があります。安倍晋三首相は「官邸主導」「政治主導」を旗印に、自身がこだわる政策を進めています。

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 「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を随時掲載しています。

◆自民党改憲草案の関連表記

 行政権は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、内閣に属する。

 

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