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【私説・論説室から】

難し過ぎる「政治・経済」

 受験生の息子が科目「政治・経済」で悪戦苦闘している。専門用語ばかりで理解できないという。情けないなと思いつつ、教科書を読むと確かに高校生には難解だ。

 「金融のグローバル化と世界金融危機」という節には、ヘッジファンドやレバレッジという用語が並び「サブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)などのハイリスク債券を材料に大量の高利回り証券を発行した」などと書いてある。脚注に説明があるが、ざっと読んで理解できるのは、わが論説室でも経済担当ぐらいだろう。

 国際関係では「核軍縮の課題」の項目に、核拡散防止条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)などの用語が並ぶ。この辺は私が苦労して記事を書いている分野だ。

 次に中学の「新しい社会 公民」教科書を読んだら、すごくわかりやすい。グローバル化によって人やモノ、情報の行き来が広がったが、難民や不法移民など難問が出てきた。世界には大量の核兵器があるが、核軍縮のために被爆国・日本の役割は大きいといった内容だ。テーマを示して「自分の考えをまとめてみよう」というコーナーもある。

 大学の文系に進むのなら「政治・経済」科目はとても大切だが、高校の教科書は理論的、専門的に過ぎる。中学「公民」のわかりやすさを生かしながら、大学での講義の基礎にもなる教科書が欲しい。 (山本勇二)

 

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