都市ガスの小売り きょうから自由化

都市ガスの小売り きょうから自由化
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家庭向けの都市ガスの小売事業が1日から自由化され、新規参入に伴う競争を通じて、ガス料金の値下げやサービスの多様化がどこまで進むのか注目されます。
家庭向けの都市ガスの販売は、これまで地域ごとに1つの企業が独占してきましたが、今月から自由化されて新規の事業者が参入できるようになり、消費者にとっては選択の幅が広がります。

去年から始まった家庭向けの電力の小売りに続く自由化で、業者間の活発な競争による料金の値下げや、新たな割引プランなど、サービスの多様化が期待されています。

関西地方では、関西電力がガスに、大阪ガスが電力にそれぞれ参入する形となり、自由化を前に双方が値下げプランを相次いで発表するなど、新たな顧客の獲得に向けてすでに激しい競争を繰り広げています。

しかし、都市ガスの原料となるLNG=液化天然ガスを取り引きできる市場が国内にないことなどから、参入は海外からLNGを輸入して調達できる業者などに限られ、自由化が始まる時点の新規参入の業者は12社と、電力の自由化のときに比べて10分の1程度にとどまっています。このため、ガス料金の値下げやサービスの多様化を一段と進めるには、LNGを取り引きできる市場の創設などが課題となります。

関西地方では競争激化

家庭向けの都市ガスの小売り自由化に伴って、関西地方では、大手電力会社と大手ガス会社が相互に参入し合う形となり、顧客の獲得競争が激しくなっています。

去年4月から始まった電力の自由化では、大阪ガスが電力の販売事業に参入し、電気とガスのセットによる割り引きサービスなどで、目標を上回るおよそ30万件の顧客を獲得しました。

これに対抗する形で今月からは、関西電力がガスの販売事業に参入します。去年12月、電気とガスのセットの割り引きサービスで、使用量が平均的な家庭では、大阪ガスの通常料金よりおよそ8%安くなるメニューを公表。大阪ガスが対抗して料金を下げると、その翌月には、さらにおよそ5%値下げするなど、大手どうしが互いの事業に乗り入れ、顧客の獲得競争が激しくなっています。

こうしたサービス競争は、当面は大手電力会社と大手ガス会社が事業を展開する大都市圏に集中する見通しです。

進まない新規参入

ガス自由化で、家庭向けに参入するために国への登録を済ませたのは、31日までに電力会社やLPガス会社合わせて12社にとどまっています。去年の電力自由化の際は、スタート前にはガス会社や通信会社などさまざまな業種から150程度の事業者が登録していたのに比べ、大幅に少なくなっており、地域も首都圏と関西、中部、九州に限定されています。

新規の参入が進まないのは、都市ガスの原料となるLNG=液化天然ガスを調達できる卸市場が国内にないことや、新たに参入した業者もガスの保安業務を義務づけられるため、人材の確保が難しいことなどがあります。また、地方を中心に展開するLPガスの市場は、従来から料金が自由化されているものの、業者間の競争は活発ではありません。自由化で期待されている多様なメニューや料金値下げを全国に広げていくためには、LNGの取引市場をつくるなど環境の整備が必要となっています。