インドの州 牛殺せば最高で終身刑に 懸念の声も

インドの州 牛殺せば最高で終身刑に 懸念の声も
牛を神聖な存在とするヒンドゥー教徒が8割近くを占めるインドでは、西部の州で牛を殺せば最高で終身刑となる法案が可決され、牛肉を食べるほかの宗教の人々への圧力が強まるなど、社会の不寛容な動きにつながらないか懸念する声があがっています。
インド西部のグジャラート州の議会は31日、水牛以外の牛を殺した場合、最高で終身刑とする法案を可決しました。インドで8割近くの人が信仰するヒンドゥー教では雌牛は神聖な存在で、大半の州で殺すことが法律で禁じられていますが、最高刑が終身刑に厳罰化されたのは初めてです。

インドではイスラム教徒などの間で雄牛や水牛の肉が広く消費されていますが、ヒンドゥー至上主義団体を支持母体とするモディ政権が3年前に発足して以降、複数の州がすべての牛の肉の販売を一時禁止したほか、イスラム教徒の男性が牛肉を食べたとして若者の集団に暴行を受けて死亡する事件が起きるなど、牛肉を受け入れない風潮が強まっています。

多民族国家のインドは異なる民族間の融和を図り多様性を尊重していますが、今回の厳罰化によって牛肉を食べるほかの宗教の人々への圧力が強まるなど、社会の不寛容な動きにつながらないか懸念する声があがっています。