日刊ゲンダイDIGITAL

  • facebook  
  • twitter  
  • google+

小澤俊夫氏が警鐘 「共謀罪で言論の息の根が止められる」

 共謀罪の危険性を聞くなら、小澤俊夫氏だろう。筑波大名誉教授でドイツ文学者。世界的な指揮者、小沢征爾氏の兄、つまり、ミュージシャンの小沢健二氏の父親だが、今回はこの人自身の父親、開作氏の話から伺った。満州に渡り、石原莞爾に共鳴、五族協和を訴えた開作氏は大陸でも帰国後の日本でも特務機関の監視対象だったのである。テロ等準備罪などというが、治安維持法とどこが違うのか。今の安倍政権は日本をどこへ導こうとしているのか。貴重な戦争体験に基づいた警鐘――。

■一番悪い岸の末裔が首相になって日本の未来はなくなった

――お父さんの開作さんは早い段階から敗戦を予想されていたと聞きました。

 親父はもともと歯医者で、シベリア経由でドイツに留学するつもりで大連に行ったんですよ。そこで石原莞爾さんや板垣征四郎さんの五族協和の考え方に感銘を受けて、満州青年連盟の一員となって活動を始める。でも、いつのまにか日本から大量に官僚が入ってきまして。親父は官僚が大っ嫌いですから、絶望していたところ、北京行きを勧められたんです。中華民国新民会という政治結社をつくって、日本の軍政府ができないことを中国人のためにやっていました。華北評論という雑誌も出していたね。今でも覚えていますが、1940年、皇紀2600年で日本中が浮かれているときに、「この戦争は勝てない」とハッキリ言いました。なぜなら、中国の民衆を敵に回しているから、と。こんなことを言えば軍部に睨まれますよね。その前から、軍部批判を強烈にやるもんだから、目をつけられて。思想憲兵がうちにずっと来ていたんです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のニュース記事