プレスリリース

東大、開花時期・収穫時期を自由自在に制御できるイネ系統を開発

2017/3/28 0:05
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発表日:2017年3月28日

「あなたも“花咲爺さん”になれる! 」

― 開花時期・収穫時期を自由自在に制御できるイネ系統を開発!

野外でも実証実験!生産性・品質の向上が可能に。―

 

■発表のポイント:

 ◆花芽を作るフロリゲン遺伝子(注1)と花芽形成抑制遺伝子(注2)を改変する事で、抵抗性誘導剤(注3)タイプの市販農薬を散布したときだけ、約40~45日後に開花するイネ系統を創出しました。

 ◆イネのすべての品種は、栽培地域・田植日を決め、気温や日長といった栽培環境が確定すると、開花・収穫時期が決まり、人為的制御することは不可能でしたが、この技術により、栽培者は任意の時期に開花・収穫できるように調節が可能になります。

 ◆人為的な開花期制御により、栽培環境ごとに収量・バイオマス・品質制御の最適化が可能になり、生産効率の向上が期待できます。また、開花期と強い相関を示す農業形質も育種対象とできるので、これまでにない品種開発が可能になります。

■発表概要:

 東京大学大学院農学生命研究科の井澤毅教授らの研究グループは、農業生物資源研究所(生物研。現在は農業・食品産業技術総合研究機構に統合。)と共同で、特定の市販農薬(抵抗性誘導剤タイプの農薬、オリゼメート(MeijiSeikaファルマ)やルーチン(バイエルクロップサイエンス)等)を処理したときにのみ開花するイネ系統を創出しました。植物は栽培を続けると、最後には花が咲くように遺伝的に運命づけられていますが、研究グループは、花芽が作れなくなるように、花芽形成に必須な内在のフロリゲン遺伝子の働きを抑えること成功しました。そして、花が咲かないイネを創出した上で、抵抗性誘導剤で処理したときにだけ反応して働くように改変した人工フロリゲン遺伝子をイネに導入することで、抵抗性誘導剤タイプの農薬で処理をすると、処理後約40~45日で花が咲くイネ系統を創出しました(図1)。導入したイネ系統によっては、ひと穂粒数といった収量性形質の向上も確認できました。遠くない将来にこの技術が実用化されれば、栽培者が望む時期に・コメを収穫することが可能になり、栽培地域の気候に応じた栽培体系が実現でき、生産性・品質の向上が期待されます。

 本研究は、農水省委託事業「次世代ゲノム基盤プロジェクト」(課題番号GMO1005 期間:H25-H26)及び 「新農業展開プロジェクト」(課題番号 GPN1001。期間:H20-H24)の支援を受けて行われ、井澤毅教授の生物研所属時代より実施、東京大学移籍後、論文化が進められました。なお、第一著者の岡田龍は、現在、名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻でポスドクをしています。

 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照

 

 

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