TPP固執に垣間見える 21世紀型の「大東亜共栄圏」構想
さすがに往生際が悪すぎる。安倍首相が今国会でのTPP承認と関連法案の成立に、いまだ固執している。
衆院での強行採決に続き、今度は自然成立を狙って、11月30日までだった会期を延長させた。会期末までの法案成立が困難となったのは、山本有二農相の度重なる失言や、ちぐはぐな国会運営など、政府与党の身から出たサビだ。それでも、安倍首相は発効が絶望視されるTPPの批准をあくまで目指す。この執着心は尋常ではない。
TPPの発効には参加12カ国で最も経済規模が大きい米国議会の承認が不可欠。安倍首相の言い分に従えば「米国にTPPの意義を粘り強く訴え続ける」ために、「国会での速やかな承認」が必要らしい。だが、トランプ次期大統領は当選以来、かなり穏やかになったとはいえ、「就任初日のTPP離脱」という公約については強硬姿勢を崩そうとしない。安倍首相との会談から5日後に、改めて離脱表明のビデオメッセージを発表したのも、強い意志の表れだ。