長谷川豊です。
先週、地元の中学校で保健指導委員の推薦会議に出席してきました。地域の有志を募って夜遅くまで遊んでいる児童に声がけをする役目などもあり、保健指導委員は地元の治安の面でもとても重要な役割を担っています。
しかし条件面を聞くと、市の嘱託の仕事であるにもかかわらず、仕事内容に対する対価の支払いの部分に少々疑問を感じるところがありました。
昔から思うのですが、日本って「子育てや地域を守ることは、当然ボランティアとしてやるべき」という前提で話を進めますよね。これってどうなんでしょうか?
巷で問題になっているPTAの論争もそうなんですけれど、
「子育てなんて、専業主婦がやって当然だろ!」
「専業主婦なんてタダで働くのが当然だろ」
という大前提で話が進んでいて、かなりの労力を要するような話であっても、「働かせて当然」「やって当たり前」みたいなシステムが日本中で散見されます。
大前提ですが、日本は資本主義社会です。本来ですと労働力には対価が支払われるべきで、ボランティアとはあくまで「やりたい人がやってくださる」程度の話でなければいけないのです。
もちろんボランティア自体を否定するものではありません。それらによって地域が安全で安心な場所になるのであれば、それはそんなに素晴らしいことはないように思います。
ですが、時代ってものはどんどん変化します。今は、昭和の時代のように専業主婦が大半という時代ではありません。
500人が参加するイベントに8万6000円
具体的な話をしましょう。
私は千葉市の嘱託(しょくたく)の委員である青少年育成委員の一員です。
自分が好きで地元への恩返しのつもりでやっているので何の不満があるわけではないですが、当然のように「無給」です。
で、その育成委員の仕事のひとつとして、私たちの地元ではもう20年位以上続いている「地域を子供たちに回ってもらって住民との交流を深めよう」というイベントが行われるのです。
子供たちも喜んで参加し、当日は子供たちが300人ほど。ボランティアスタッフも含め、総勢で500人近くが参加するイベントが1年に1度行われます。
私は今年初めてそのイベントにスタッフとして参加して、驚愕したのです。
繰り返します。これは「千葉市の嘱託」を受けたイベントです。なので、チーバ君も参加しますチハナちゃんも参加してくれます。
その500人規模のイベントに千葉市が出してきた予算総額は、8万6000円です。
180人ほど参加して下さるボランティアのスタッフの中には、子供たちの遊び相手になってくれる地元中学校の生徒たちもいれば、クイズ大会の補助をしてくださる教職員の方々もいます。
地元のご高齢の方々が各交差点に旗を持って立ち、興奮して走り回る子供たちを安全に誘導してくださります。
みなさんに寒い2月に集まってもらうので、ホッカイロくらいはお渡ししなければいけないでしょう。そしてお茶くらいはお出ししないと失礼です。中学校の生徒たちには朝から集まってもらうのですから、せめてパンだけでも…
あ、ほかにも大事なことを忘れてた…!
このイベントは「ウォークラリー」といって、中学校や小学校などの各ポイントを子供たちに回ってもらい、地域との交流を深めてもらおうというイベントになっています。
それぞれのポイントでゲームなどをしてもらい、点数を競ってみんなで楽しんでもらう工夫もされています。子供たちが興奮状態で走り回ります。
考えたくない話ですけれど…もし事故が起きたらどうするのでしょうか?
せめてもしもの時のために保険だけでも…そう思って保険会社に問い合わせたところ、子供たちの人数と半日だけという話をしても、かかる保険料がすでに8万円では全然足りないのです!
結局、保険をかけずにイベントは行われていた
よくよく調べると、過去のイベントでは保険には入っていました。
そうです。人数をごまかし、子供たちの参加人数はわずか100人以下という虚偽の報告をして保険に入っていたのでした。
当然、事故がなかったので事なきを得ているのですが、そもそも本当に事故が起きてしまった場合、保険会社の調査が入ります。その時に参加人数のリストはできあがっていますから、絶対にバレます。
どれだけずさんな運営。
私は千葉市の嘱託のイベントである以上、さすがに保険だけでも千葉市が入っているものだと考えていましたが、それは間違いでした。
千葉市としても「地域の交流を深めてくださいね」という以上の要望を出していないという体裁になっているので、「保険代などは予算内で組んでください」という姿勢なのです。
でも、今後このイベントが継続する以上は、いつどんな事故が発生するかは分かりません。最悪の事態になった場合、保険も支払われず、しれっとイベントを終了してみんなうつむいて事態を終えようというのでしょうか。
そんな心配がある中、「ずっとやっているイベントだから」ということで強行されようとしていた今回のイベントでしたが、幸か不幸か、インフルエンザが大流行をして今年は中止となりました。
来年以降も今のままのシステムで継続するのかどうか、注視しなければいけないと思っています。
教育や地域に回す予算が少なすぎる日本
こちらを見てほしいのですが、
出典国立教育政策研究所 第8章 高等教育の社会経済的効果と費用負担より
日本は「教育」や「子供たち」に回す予算が世界と比較しても少なすぎるのです。
地域との交流を深めることはとても大切な教育のひとつです。
千葉市もなけなしの予算の中から少しでも回そうとしてくれているのかもしれません。しかし、保険すらも入れない予算では、いくらなんでも無責任という批判を受けかねません。
地域のボランティア組織だけの有志イベントという形にすれば、地域の商店街などに自由に営業をかけることもできます。
しかし、千葉市の肩書を持ったイベントなので、そんな自由な活動も制限されてしまっていることが現実です。
本来、これらのイベントは営利目的の企業がどんどん参加して利益が上がる仕組みにしても全く問題がないことです。民間に落とすべきことは民間に落とすべき時代が来ているにもかかわらず、いまだに大きな変革がしきれない日本。
実はみなさんの身の回りにも、こうした行事やイベント・事業はたくさんあるのかもしれません。
この記事を書いたユーザー
モノ申すフリーアナウンサーとして、テレビ・雑誌・講演と幅広い分野で活躍中。特に多くの取材経験からニュースを多角的な視点で見る文章に定評がある。現在は執筆や講演会など多方面で活躍中。
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