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昨年秋の日仏会館に引き続き、今回は調布画廊にて27日まで開催の松岡暁子先生の展覧会に行ってきました。次のリンクから私が松岡先生の作品について2006年にYahooのホームページ日記(ジオログ)に書いた記事が見れます。http://www.geocities.jp/hokurin50/6diary.html 案内状には美術評論家の針生一郎先生が書いておられます。「松岡暁子は1950年代に女子美大を出て、すでに半世紀以上毎年旺玄会展に出品し、個展や日韓交流展も多く、手彩色のドローイングやリトグラフで抽象表現主義の安定した作風に達している。…何らかの方向でそれを突き破る飛躍を期待したい…」(抜粋) 今回も新しいユニークな試みが見られ、蜜蝋を使いリトグラフや水彩で韓紙に描かれており独特の表現となっていました。すでに70歳を超えられているのに、そのエネルギッシュで常に新たな表現に取り組む姿勢には脱帽です。筆使いも伸びやかで自由、観ていて心地よいですね。前回の日仏会館ではフランスの方から書との関係について質問がありました。 幸運な事に、この日は会場に針生先生がお見えになっており、お話を伺うことが出来ました。現在84歳になられたそうで、私が高校生の頃から美術雑誌ではそのお名前を拝見しており、常に第一線で活躍されております。どこかの先住民の「贈与」ということに触れ、現在、確か福岡の美術館で試みが行われたという「リアル・リアル・フリーマーケット」(?私は飲み食いで大分お酒も回っていたのでちょっとはっきりしませんが)の事、また日本では、政府が作品を買い上げなどと言うことを行ったら、箔付けの悪い弊害が出て好ましくない、若い評論家は絵画の自立性と言う事で垣根を作ってしまう傾向がある、等と言った内容のお話を、ユウモアも交えてされていたと思います。お目にかかれて光栄でした。 奇遇ながら、大学のときの友達の友達の一ノ瀬千恵乎さんにもお会いできました。世の中狭いですね。30年ぶりでしょうか。当時お話したことはなかったのですが、日本画の故加山又造先生に師事し現在、作家として活躍されています。針生先生が「日本画の概念をも超えてここまで来たことを私も評価するとともにさらに、実験を続けて彼女がどこへ行くかをみまもりたいと思う。」(抜粋)と書いておられます。 画廊主自ら手作りのご馳走を頂き(にんにくのスライスしたのがとてもおいしかったのでいっぱい食べ過ぎ、周りの女性に不快感を与えたのではと恐縮しております。)、おいしいワインも飲めて、よい一日となりましたことを感謝しております。 写真上から・松岡先生(左)針生先生(右)、中・河口聖氏(中央)、下・一ノ瀬千恵乎さん 5月26日に針生一郎先生が、残念ながらお亡くなりになりました。5月30日の日曜美術館で知りました。長谷川リン二郎の絵に「現実を観察する事と、夢を追う事が重なった作家」と評していたのが印象的でした。長谷川も針生先生と同じ84歳で他界しています。
この間お会いしたときは、椅子からお立ちになり、つやのあるはっきりした声で何十分かお話されました。「西洋では、評論家の演説のあとパーティーが始まるのだが、今回私は志願してお話します。」と言ってお立ちになり、しっかりとお話されていました。最後のほうでは、故加藤周一氏とのマスコミからのパージについてのやり取りにちょっと触れていました。お元気そうに見えましたが、訃報を聞いてショックを受けました。私にとって最初で最後の出会いでした。先生のご冥福をお祈りいたします。 6月1日追記 |
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