タマニチェンコさまの記事を読んでおもわず「社会主義」の言葉にぴくっと反応した。働き方改革の案などが私にあるわけではないのだが、国のイメージというものについて書いてみる。
↓ こちら読んでくださいね。長くないですよ。
タマニチェンコさま、ありがとうございました。
外国人は日本にどんなイメージを持っているか。
その前に私たちが、他国に対してどんなイメージを持っているか、自分で考えてみるといい。
私だったらアメリカはまず自由の国、実力主義、移民で成り立っているから多様性に富んで活気がある、格差は大きいが正義はまだある。しかしトランプ後はそうしたイメージとはひどくかけ離れてしまったと思う。
Paris
フランスは一般に歴史、芸術、ファッションなど華やかなイメージ。私だったらワインや農業、酪農、漁業のほうを先に言うだろう。また文化関連に力を入れ、太っ腹の招聘制度(留学など)や文化施設の充実などを思い浮かべる。やはり移民や亡命者、難民を受け入れて発展してきた国でもある。
しかし2000年に入った頃からパリ郊外で頻発した暴動事件(主に移民の子弟による)、その後のテロ事件(パリ、ニースなど)ですっかりイメージも変わった。日本の大学生の親も、フランスは危ないから留学させたくないと言っている。
タマニチェンコさま、部分を引用させていただきます。
日本では、見た目上、自由主義で資本主義でありながら、社会と国民の性向によって、実質的に社会主義的な機能を持つ国家運営がなされてきました。
その中心には、会社中心の生活スタイルや価値観を生み出す、新卒採用制度や年功序列制度、正社員の雇用保護政策があります。
そしてイノベーションや責任よりも画一性や協調性、忍耐や努力を強いる洗脳行為は、学校教育から始まり、新卒研修による大学生活の否定、定年退職に至るまで綿密に組み込まれており、社会に深く根ざしています。
私が若かったころ(1975~85年くらいと考えてください)フランス人やスイス人、ドイツ人、イタリア人などからほぼ似たようなことを言われたものだ。「社会主義」とは誰も言っていないが、個人が社会に組み込まれている感じがすると。 画一的で集団で動く感じ(団体旅行客から受ける印象か)、制服を着て時間通りに行動してまるでロボットみたい(TVなどのニュース映像からか)…。そして「働きすぎ」!
私はそのように言われるまで全く考えたことがなかった。親が勤め人でないこともあるが、10年近く独りで旅行ばかりしていたので、知らないことが多かった。
たとえば1980年代初めに、フランス国鉄は「トヨタ生産方式」(フランス語:Le Toyota Manufacturing Program )を取りいれようとした。まず幹部らが講習を受けにいき、四苦八苦して学んで持ち場に戻り、社員や労働者に教えようとする。しかしこれが大ブーイングだった。誰も理解する気がないので「うちの部署では頓挫してやめにした。フランス人には向かない」と当時部長職だった人が話してくれた。
日本のイメージ いま
誤解のないように言っておくが、あのころは文化面では日本はむしろ持ち上げられすぎだった。ド・ゴール政権で文化相だったアンドレ・マルロー(André Malraux, 1901- 1976年)は、初代日本オタクと言ってよく、日本文化に関する著書も多くした。彼の壮絶な人生も含めて後日紹介する。
あのころは日本映画が大絶賛で、黒澤・小津・溝口の主要作品を見ていないと日本人扱いされなかったものだ。とはいっても日本文化・芸術はやはり少数の知識人にファンがいたというだけである。
日本社会の今のイメージは、というと、かなりひどいんじゃないかと思っている。
私はいつも朝、海外の新聞をのぞくのだが最近はビクビクしている。先日、ロイターが塚本幼稚園の記事を配信したときは「やめて~!」と思った。あれが日本の幼稚園だと思われたら困る。安倍首相夫人が訪問したことも、戦前の日本を彷彿とさせる教育をしていることも、15年前から教育勅語を導入したことも写真入りで詳細に伝えていた。
それから過労死、長時間労働。
こちらはあちこちの国で記事が多くて私は憂鬱だ。以前も一度記事を書いている。Karoshiは完全に普通名詞化した。「過労自殺」karo-jisatsuも同じく。
”karoshi japan”で画像検索してみるとよい。もしかしてお知り合いの人、写っていたり…?
海外の記事ではここから写真を取っている。
たとえばこのイギリスの記事のこの写真も「画像検索」の中にある。
Could the UK fall victim to Japan's 'Karoshi' over-working culture?
↑英文なのでどうぞ。
電通社員だった高橋まつりさんが過労自殺したことは、私が知っているだけで5か国の新聞で報道された。
https://www.ft.com/content/982b1c46-d75b-11e6-944b-e7eb37a6aa8e
イタリアの記事ではこんな写真。
どこの会社だろう。みなさん、写真を撮られたことは知っているのだろうか。
高橋さんのことや日本の過労死症候群について書いている。
Il troppo lavoro uccide, il Giappone fa i conti con la sindrome karoshi
こちらの記事は、高橋さんの自殺のあと、日本では「プレミアムフライデー」を導入した、というもの。毎月、月末の金曜日の終業時間を午後3時にするように会社側に呼びかけていると。
Contre la mort par burn-out, le Japon instaure le "Premium Friday"
ここで使われている写真。
まだとっても若々しいみなさん、就活中ですね。
またもとにもどるが、日本の過労、長時間労働のイメージは昔からなんら変わっていないのだ。外国人でこうした記事を頻繁に読んでいたら、日本は悲しい国だと思うはずだ。
遺族の方がおっしゃっていた「過労死ということばをなくしてほしい」。
ああ、本当にそんな日がくるといいな。
それに移民を入れたり、優秀な外国人に日本で働いてもらおうなんて思っても、こんなひどい労働環境の国に来てくれるわけがない。残業時間の上限100時間とか(60時間であっても)、他国の人が聞いたらまずジョークだと思うだろう。
むだをなくして拘束時間をできるだけ減らしてほしい。通勤時間も長いのだし、飲み会など最低限で。余暇や趣味でリフレッシュして効率よく働いてもらいたいと思う。
そうでないとますます高齢化する日本。若い人が病んで疲弊したら将来は…。
(続く)