台湾のライヴハウスに行ってみた。〜「今」の台湾インディー〜

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1月9日(土)、10日(日)に台湾で行われた、台湾のインディーズバンド、透明雑誌(TOUMING MAGAZINE)、森林(FORESTS)、落日飛車(Sunset Rollercoaster)の3組と、日本からはOGRE YOU ASSHOLEが出演した「CITY JIVE」というイベントに、海を渡って行ってきた。そこで初めて体感した台湾のライヴハウス、初めて触れた台湾のインディーズシーンの音楽がとても面白かったので、ぜひとも今回紹介したい。(OGRE YOU ASSHOLEのライヴレヴューはREVIEWSをぜひご覧ください!)

 

そして、先日起こった台湾南部の大きな地震。お亡くなりになった方もいらっしゃり、今も行方が分からない方も多くいる。 台湾は冬でも昼間なら半袖で過ごせる温暖な気候。街中で迷っていたら向こうから話しかけてくれ、しかも分からなかったら道行く人を呼び止めてまで解決してくれるという、街も人も温かだった台湾のことが、普段あまり触れる機会が少ない台湾の音楽シーンが、今回の企画で少しでも身近になるきっかけになればという思いとともに、少しでも早く平穏な時が訪れますように、祈っています。

及川 季節

 

1月9日(土)CITY JIVE 1日目 @THE WALL

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1日目は、台北の「THE WALL」というライヴハウスで行われた。 台湾のみんなの足であるバイクがビュンビュン走る、大通りに面した場所にある「THE WALL」は、暗い階段を下っていくとまずタトゥーショップが目に飛び込んできて驚いた。さらに進むとバーがあり、その奥がライヴハウスだ。キャパは少し小さいが、日本でいったら段差のある客席やステージの高さが恵比寿LIQUIDROOMに似ている。 この日のライヴは20時からスタートした。1組の持ち時間はたっぷり1時間。終演は0時を回り、まんまと終電を逃して途方にくれるという(なんとかタクシーを捕まえて繁華街へ辿り着いたが、予定していたホテルがどこも満室で漫画喫茶に泊まりました)、日本ではなかなかないイベントだった。

 

日本のファッション雑誌がコンビニで普通に売っている台湾。お客さんは、言われなければ日本人と区別がつかないファッションだ。しかしライヴが始まると、多くの人がスマホをかざして写真や動画を遠慮もせず撮っているのには驚いた。中には一眼レフの立派なカメラを持ってきている人も。ライヴ後、InstagramやTwitterにたくさん動画が上がっていた。台湾のインディーズバンドはファンからのSNSで広まっていくのかもしれない。

 

まずは1日目のみの出演となった、透明雑誌を紹介したい。

 

透明雑誌(TOUMING MAGAZINE)

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このバンド名を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。実は日本で名前を知られるようになって、逆輸入という形で本国台湾でも人気となった透明雑誌。メンバーは、洪申豪(ホン・シェンハオ)(Gt&Vo) 、唐世杰(タン・スージェイ)(Dr)、張盛文(チャン・シェンウォン)(Gt)、薛名宏(シュエ・ミンホン)(Ba)の4人。 日本のパンクバンド・NUMBER GIRLからの影響を公言していて、バンド名はNUMBER GIRLの“透明少女”が由来だという。 ライヴでは観客みんなで声を合わせて歌ったり、前方半分以上でモッシュが起きたり、会場全体でもみくちゃになって楽しんでいた。叫ぶような歌声とエモーショナルなギターのメロディから、ASIAN KUNG-FU GENERATIONを思わせる曲もあり、感情がストレートに胸に響く、熱気あふれるライヴだった。

 

透明雑誌 – ANORAK(OFFICIAL VIDEO)

 

 

1月10日(日)CITY JIVE 2日目 @LIVE WARE HOUSE

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2日目の会場は、台北からバスで5時間、新幹線だと約1時間半ほど南に下った、台湾南部の高雄市にある「LIVE WARE HOUSE」。 港にある倉庫街をリノベーションして作られたライヴハウスで、近くにはカラフルなオブジェや絵画で覆われた建物、そしてスタイリッシュなカフェや雑貨店があり、港全体がアートのよう。そして中に入ってみると、真ん中に柱とドリンクカウンターがあり、渋谷のduo MUSIC EXCHANGEをイメージした。 前日には、日本からTHE NOVEMBERSとdowny、1月末にはBIGMAMAとTOTALFAT、THE BACK HORNのライヴが行われるなど、日本のアーティストも数多く出演している場所だ。

 

ここからは、両日に出演した森林と落日飛車を紹介しよう。

 

森林(FORESTS)

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パーカッションとシンセを操りながら歌うヴォーカルと、ドラムとベースの3人からなる森林。ミニマルに響くドラムとベースの低音は、鼓膜から足元まで震わせ、繰り返すリズムは異世界にトリップするようだ。ヴォーカルの吠える、という表現がふさわしいほどの叫び声も加わり、とてもディープな時間を体感するライヴだった。観客はみんな、自分1人の世界に引きずり込まれたに違いない。「台湾で今一番実験的で先鋭的な音楽を鳴らすバンド」と言われ、人力で鳴らすストイックな音は日本のgoatを彷彿とさせ、反復するメロディに加わる幻覚的なノイズは、60〜70年代にヨーロッパで広まった、サイケデリックロックの影響も色濃い。

 

森林(FORESTS)- Band Camp

http://foresting.bandcamp.com/

 

 

落日飛車(Sunset Rollercoaster)

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オリジナルメンバーは國國(グォグォ)(Vo&Gt)、弘禮(ホンリー)(Ba)、尊龍(ズンロン)(Dr)、小甘(シャオガン)(Key)、浩嘉(ハオジャ)(Perc)の5人だが、この日のライヴはさらに、サックスとギターが加わる大所帯。 音楽性は幅広く、台湾独特の時代を感じる建物や夜市の賑わい、八角の香りなんかを感じるオリエンタルな曲から始まり、カーペンターズやボブ・ディランが思い浮かんだ古き良きフォーキーな楽曲は、オレンジと黄色に染まる照明も相まって、夕日のドラマティックな雰囲気がぴったりだった。そして、自由な雰囲気漂うセッション性の高い曲や、大所帯ならではのユニゾンの厚みが大迫力。これはぜひ、生で体感してほしい。 MCではよく笑い声が起こっていて、彼らの表情からもユニークな人柄が伺えた。ちゃんと台湾語を勉強して行くんだった!

そして、似ていると思っていたら森林のドラムとベースの2人は、落日飛車の國國と尊龍。まったく気づかないほどの音楽性の違いに驚いた。

 

落日飛車 – Band Camp

http://sunset-rollercoaster.bandcamp.com/

 

今、気になる台湾のインディーズバンド

今回ライヴを観た3つのバンドの他にも、まだまだ台湾のインディーズシーンには音楽性も様々な、個性的で面白いバンドがいっぱいなので、いくつか紹介したい。

 

閃閃閃閃(The Shine&Shine&Shine&Shine)

まず耳を引く女の子のキュートなヴォーカル、そしてポップで馴染みやすいメロディは、日本で例えるならばShiggy Jr?!

 

閃閃閃閃 – SONG1(MV)HD

 

 

 

三生有幸(サン シォン ヨウ シン)

疾走感のあるバンドサウンドとエモーショナルな歌唱は、一聴すると日本のロックバンドのよう。“單身症候群”のMVに登場する女の子の表情と<太多的愛了>(あまりにも多くの愛)というサビの歌詞から、切ない恋心を歌っているのが伝わってきた。台北の街並みを映したMVから、台湾の雰囲気を味わえる。

 

三生有幸〈單身症候群〉概念MV

 

 

 

NO MONEY NO HONEY

ShinyとKate姉妹が率いる5人組。日本語も飛び出す奇天烈なMV、癖になるメロディから思い出したのは水曜日のカンパネラ。笑いや驚きだけではなく、巧みに作られたグルーヴィなサウンドも共通項。

 

NO MONEY NO HONEY -「Pick up the phone」Official MV [HD]

 

 

 

蘇打綠(Sodagreen)

日本で例えるならばオリコンのような2015年の台湾のCD売上ランキングで、インディーズバンドの中では堂々のトップ8。ヴォーカルの透き通った歌声と華のあるメロディ、そしてオーケストラを交えて演奏された“痛快的哀艷”のMVに、BIGMAMAを連想させた。

 

蘇打綠 sodagreen -【痛快的哀艷】痛快版 Official Music Video

 

 

東京インディーと台湾インディー

今回の旅で台湾のインディーズシーンの音楽に触れることができて、「それでは台湾のメインストリームはどうなっているんだろう?」と思い、「G-music風雲榜」という台湾のレコードショップの売上ランキングチャートを調べてみた。2015年の年間トップ、周 杰倫(ジェイ・チョウ)は俳優としても大人気。良い声でしっとりと歌い上げる、日本でいったら福山雅治だろう。トップ10に入るSpeXialはきっとEXILEで、Popu LadyはAKB48。やはり日本と同じく、アーティスト自身にタレント性があり、音楽もポップで共感できるものが人気なようだ。

「CITY JIVE」で出会った、バンドごとに様々なカラーを持つ多様性のある音楽は、リスナーに合わせて作られたものではなく、自分達が本当に好きでかっこいいと思う音楽を鳴らしているんだ、という自信を感じることができた。これは、メインストリームのカウンターとして日本のインディーズバンドが鳴らしている、色とりどりな音楽と同じなのではないだろうか。台湾と日本、音楽性はバラバラでも、そんな共通点を見つけた気がした。 今後はもっとたくさんの日本のバンドが台湾にも進出し、日本の素晴らしい音楽が広まっていってほしいと思う。そして近いほど遠い、台湾や他のアジアの国の音楽を日本で聴くことができたら、きっと刺激し合い、さらに面白い音楽が生まれるような気がする。

 

2月19日には青山月見ル君思フにて「CITY JIVE」日本公演が開催、森林と落日飛車で、東名阪、さらに京都を巡る来日ツアーも行われ、2月27、28日で開催される「京音 -KYOTO-」にも出演することが決まっている。 ぜひ、普段なかなか触れることのできない台湾の生の音楽を体感してほしい。

 

【今後のライヴスケジュール】

「FORESTS & 落日飛車 JAPAN TOUR 2016」

2月19日(金)東京・青山月見ル君想フ

w/OGRE YOU ASSHOLE

 

2月20日(日)東京・TBA

w/DJ 大石始

 

2月22日(月)東京・青山月見ル君想フ

w/あらかじめ決められた恋人たちへ /KIMONOS

 

2月23日(火)名古屋・TBA

w/the pyra小mid(角田/加納)

 

2月24日(水)大阪・CONPASS

w/psybava

 

2月25日(木)京都・GROWLY

w/yoji & his ghost band /レゴカメレオン/Easy Yoke

 

「京音-KYOTO-」

2月27日(土) 落日飛車 京都・MUSE /森林 京都・METRO