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WH破綻、米国でも波紋 米紙「電力料金の負担増も」

2017/3/30 13:20
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 東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)が米連邦破産法11条の適用を申請した。米原子力産業の雄だったWHの危機に対し、米国でも波紋が広がっている。

 ニューヨーク・タイムズ紙は29日、「WHの破産法申請は原子力産業に打撃を与える」と報じた。東芝は2006年にWHを買収したが、WHが米ジョージア州などで手掛ける原発建設の工事は大幅に遅れている。親会社である東芝には巨額の損失が発生し、破産法を使って、将来に損失が膨らむリスクを排除せざるを得なくなった。

 「かつてWHは原子力産業における米国の優位性の象徴だった」と同紙は評する。しかし「原子力エネルギーの新しい時代の幕開けをけん引するとみられていたWHのプロジェクトの将来は今や疑わしいものになった」「原子炉建屋の巨大で複雑かつ価格が高いプロジェクトに携わることのできる企業はさらに少なくなった」とも指摘する。

 東芝は29日の記者会見でWHの破産法適用申請について「海外原子力事業の損失リスクの遮断」と説明した。ただ米国ではWHの破産後に発生する恐れのある損失の責任を誰が負うのかについても懸念の声が上がっている。

 ワシントン・ポスト紙は、米国で建設中の原子炉を所有する電力会社が工事を完成させるために追加のコストを負うことになれば「米国の消費者にとって電力料金が高くなることを意味する可能性がある」と、状況次第で米国の消費者への負担増大につながりかねない状況にあることを指摘した。

 一方、WHが米ジョージア州で建設中の原子炉2基のクライアントである米電力大手のサザン・カンパニーの首脳は東芝に対して原子炉2基の完成を求めているとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。サザン・カンパニーの最高経営責任者(CEO)であるトーマス・ファニング氏が29日、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに答えたという。

 ファニングCEOは「財務や経営面の約束だけでなく、倫理面での約束もある」とし、東芝に対して「良きパートナーとして、約束の履行を期待する」と述べているという。

 同紙によると、ファニングCEOは30日に東芝や日本政府との協議に臨む予定だという。サザン・カンパニー社の原発プロジェクトは米政府から支援を受けているとし、今回の問題について、マイク・ペンス米副大統領らと意見を交わしているとしているという。

 米連邦破産法11条は日本の民事再生法に相当し、米国では企業再生の手段として広く使われている。経営危機に陥った企業が裁判所の監督の下で債務を一旦整理し、事業を継続しながら再建を果たすのが目的だ。ただ、裁判所が再建が不可能だと判断した場合は、同法7条を適用して清算手続きに進むケースもある。

 WHの法的整理が円滑に進むかどうかは東芝の経営問題を超えて、日米政府を巻き込んだ外交問題に発展しかねない状況になりつつある。(浜美佐)

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