栃木県那須町で高校生ら8人が死亡した雪崩事故を受け、高校生の登山のあり方を見直す動きが始まっている。冬山登山禁止の徹底が前提となるが、「春山」との線引きがあいまいなことに加え、過度の自粛は状況判断能力の低下につながるとの指摘もある。どのような見直しが高校生の命を守ることにつながるのか、関係者は頭を悩ませている。【野口麗子、三股智子】
【雪崩が発生したスキー場】祈り込め手向けられた花…
スポーツ庁は今回の事故直後に全国の都道府県教委に高校生の「冬山」登山を原則禁じるよう再通知した。毎日新聞が関東・東北の1都12県の高校体育連盟に取材したところ、青森▽秋田▽宮城▽山形▽福島▽群馬▽栃木--の7県が11~3月の積雪期に登山技術の講習会を開催しており、いずれも入山時期の見直しや雪崩遭遇時に位置情報を知らせる電波発信機(ビーコン)の配備など、安全管理を見直す検討を始めたと回答した。
ただ、特に東北地方の担当者は「一部の山は6月ごろまで雪が残り、春でも冬の気象条件になることがある。『冬山』の定義がはっきりしないのが問題だ」と不安を口にする。
こうした現場の悩みに理解を示すのは、世界的な登山家、野口健さん(43)だ。雪崩のリスクは冬より春の方が高いことから季節で区切ることに疑問を呈し、毎日新聞の取材に「今回の事故は、責任者が現場を見ることもなく急きょ予定を変更するなど、責任者に基礎知識が欠けていた。問題の本質は判断ミスで、冬山だからというわけではない」と言い切る。
野口さんは夏山でも暴風雨による低体温症の遭難が起きる可能性があることなどを指摘したうえで、季節ごとの一律規制よりも、状況を見極める能力を重視している。また、「引率者である教諭の役割は山岳ガイドに等しい」と話し、登山は命にかかわる活動だということを念頭に、顧問の教諭が山岳ガイドの資格を取ったり、外部の専門家をコーチに招いたりするなどの対応が必要だとも話した。
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